mixiユーザー(id:2615005)

2023年07月06日22:03

225 view

ミステリ映画『内海の輪』『配達されない三通の手紙』

推理小説を原作とする映画を見たので、原作と比較しながらレビューします。
「内海の輪』(71) 監督:斎藤耕一
松本清張の原作は考古学者が主人公だが、映画は浮気相手の人妻(岩下志麻)が主役だ。岩下の濡れ場を見るための映画だ。まるで別物になっている。
原作は加害者の心理と行動を追うサスペンスで、犯行をどう隠すかという足掻きに考古学うんちくを絡めた佳作だ。映画はミステリ要素がほとんど消され、女の業を描く情念映画である。肌を晒す岩下志麻がとにかく色っぽい。断崖のクライマックスは、二時間スペシャルなどに多大な影響を与えた。これはこれで楽しめた。★★★

「配達されない三通の手紙」(79) 監督:野村芳太郎
原作はエラリイ・クイーンの「災厄の町」だ。こちらは新訳版の解説通り、ストーリーは原作通りなのに味わいがまるで異なる。
実在の観光地を舞台にしたため、地方都市の陰湿な悪意というメインテーマが使えなくなった。手紙を強調したタイトルのくせに、扱いが軽い。原作では特殊なクレヨンで書かれていて筆跡が同じーーという証拠があったが、映画は誰にでも書けそうな楷書で、特徴がない。

裁判シーンは無い。テンポを良くするために仕方ない。
探偵役は日系アメリカ人のボブ(蟇目良)、ヒロインの次女は栗原小巻。押し掛け女に松坂慶子。この三人ははまり役だ。ある人物の恐喝が原作では金だけが目当てだが、映画では情欲が目的になっており、不自然さが目立つ。日本映画はなぜこんなに男女のドロドロが好きなのか。
ミステリとしては欠陥が多いが、美しい風景の中のサスペンスとして、それなりに見応えがあった。★★★
1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年07月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031