mixiユーザー(id:2615005)

2023年06月23日21:36

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「災厄の町」

・災厄の町(1942) 作:エラリイ・クイーン
ファン投票で、あの「Yの悲劇」や「チャイナ橙の謎」を抑えて、クイーン最高傑作に選ばれたらしい。

結婚式直前に失踪していた花婿が三年ぶりに戻ってきた。婚約者のノーラは喜んで迎え入れ、新婚生活が始まった。だが、夫の荷物から奇妙な手紙が見つかり、二人の生活に暗雲が立ち込める。

クイーンが確立したパズル推理小説の枠を自らぶち壊して話題になったそうだ。なんと事件が起こるのが三分の一を過ぎてから。地方の名家のドラマが延々と語られる。この部分が意外にも面白い。陰鬱な家庭内争議に文学的な味わいが盛り込まれている。
何と言っても架空の地方都市ライツヴィルの描写が秀逸だ。ひなびた田舎は人情だけでなく、嫉妬と悪意の培養皿にもなる。特に名家のスキャンダルとなれば、俗物どもの大好物だ。成功者の失態を喜ぶのは、古今東西変わらぬ不快な慣習だ。嫌らしさの苦味が大人の味わいである。
事件の裁判は進展が遅く、やや退屈する。
真相は衝撃的で予測不可能だ。中盤がもう少しすっきりしていれば、私も傑作として推すのだけど。79年に日本で映画化されている。見たけどまったく覚えていない。その理由は本書解説を読んで納得した。★★★★
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