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2023年06月21日21:00

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『拝啓天皇陛下様』正・続

日本の戦争映画から。
「拝啓天皇陛下様」(63) 監督:野村芳太郎
人の嫌がる軍隊も、貧乏な正助(渥美清)にとっては極楽だ。飯が食えるし、夜は寝床で眠れる。
インドで兵隊を募集したら、百人の応募に数千人の不可触民が押し掛けたという話を聞いたことがある。軍隊では服と靴が支給されるし、何より差別されない。軍では階級が絶対であって、カースト差別は厳禁だから。
日頃人間以下の扱いを受けている人にとっては、上官からのイジメなど物の数ではないのだろう。

タイトルの意味は、日中戦争停戦を心配した正助が、天皇に「軍隊を失くさないでください」と手紙を書こうとする。善良で貧しい庶民の視点による皮肉な反戦ユーモア映画だ。あまり毒のある内容ではなく、兵隊と戦後混乱期の生活記録という感じ。良い人が多すぎて物足りない。正助は周囲の価値観が変わっても、教え込まれた通り天皇は神で自分は赤子だと信じている。最後のテロップは強烈だ。★★★

「続・拝啓天皇陛下様」(64) 監督:野村芳太郎
前作とはつながりがない。渥美清が演じるのも別人だ。家族のいない善助(渥美)は汲み取り屋として蔑まれる毎日だ。同じように見下される中国人のワン(小沢昭一)は数少ない友人だ。やがて徴兵された善助は、軍犬係として勤務する。犬と心を通わせたのも束の間、辛い別れが待っていた。

戦後パートには多彩な人物が登場して、見応えがある。前作より見所が多い。特に新興成金となるワンとその妻(南田洋子) のエピソードがいかにもありそうだ。善助は頭の足りない娘(宮城まり子)と深い仲になり、ささやかな幸福を掴むかと思われたが。純朴で無知な庶民が戦前に教えられたデタラメをずっと信じているという描写は、何より強烈な反戦メッセージになっている。
★★★★
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