それにしてもきのうの高安のうめき声はすごかった。倒されたとき左足一本で踏ん張りすぎて肉離れを起こした様子。力士が土俵上で動けなくなり、車イスで運ばれていく状況はいままで何度も見たけれど、あんなに苦しそうな声を発するとは。この当たり前にいままで気がつかなかった。無観客というのは残酷な側面もあるということだ。
いままで聞こえなかった音が聞こえてくる〜これが今場所をテレビ観戦する側の共通認識。たしかに一昨日の豊山=炎鵬戦は1分を超える大相撲、動きがとまり江戸時代の相撲錦絵にあるような手四つの形になると(ふたりの対戦は学生時代から常にこの展開になっていたらしい)、両力士の息づかいがかなりリアルに聞こえてきた。
それってよくボクシング映画なんかで試合が重要な局面を迎えたとき、場内の歓声や実況の声そしてそれまで流れていた勇ましい音楽もいっさいオフにして、両選手が放つパンチの響きとあとは息づかいやステップの音だけにする演出があるけれど、土俵周囲の照明ぐあいも相まって、一昨日のこの取組にはまさにそんな空気を感じた。
きょうで序盤戦が終了、なんとなく無観客場所に慣らされてきた感もあり、ときおり映される過去の対戦のVTR、満場の声援を受けて戦う力士たちを見ると、どこか懐かしささえも感じたり。どちらにしても今後長く語り継がれるであろう今場所、大相撲の歴史の証言者になったつもりでこのあと千秋楽までじっくりつきあうことにします。
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