水玉蛍之丞が本書をきっかけにSFファンになったという話を知ってから、気になっていた。アマゾンでもあまり見かけず、たまに出ても凄い高値だった。で、手を出しそびれていたのだが、3月に神田で入手した。それほど高くなかった。アナログな発掘が電子通販に勝ることもある。
・竜の卵(80)作:ロバート・ラル・フォワード
中性子星とは、恒星が爆発したあとの最終的な姿だ。わずか直径20キロの中性子星は、約0・2秒で自転している。想像を絶する超重力のこの星に、知的生命が存在するのだ。
アメーバーのような姿の支配生物チーラたちは、寿命が40分くらいしかない。瞬く間に進歩を続ける彼らの年代記はSF的興奮に満ちている。武器の発明、数学の発見、国家の成立、宗教の発生。そして科学技術の発展。
圧巻は地球人類とのコンタクトである。主体時間がかけ離れているので、会話さえ困難と思われたが、工夫を重ねて問題をクリアする。混じりけのない知的好奇心だけでここまで読者を引っ張っていくとは、凄いとしか言いようがない。アクションはないし、殺しも爆破もない。チーラの歴史には戦争や宗教的紛争が出てくるが、これは当然だ。
コンタクト後の双方を動かしている動機は、ひたすらな探求心と知識欲なのだ。端正で美しく純粋な物語である。こんな精巧なSFはひさしぶりに読んだ。作者は物理学者で重力工学が専門だとか。だろうなあ。理系専門家に文才が加わったら、こんな傑作が生まれるのか。小説はあまり書いていないが、あと何冊かは読もう。★★★★★
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