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2016年10月07日23:42

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『冒険の惑星』��

・キャス王の陰謀 冒険の惑星�供�69)作:ジャック・ヴァンス
�鬼�以上に充実した内容だった。リースは救出した王女イリン・イラン(キャスの花)を伴って東へ向かう。人類の国ならばある程度科学が発達していて、宇宙船を作ってもらえるという目論見だ。甘い考えは、いろいろな意味で打ち砕かれる。冒険小説に付き物の従順な美女と思いきや、同国の貴族ドルドリオに会ったとたん、態度が豹変する。ドルドリオは気位ばかり高く、実態は意地汚いタカリ野郎なのだ。これだけでも驚きだが、中盤のある事件に唖然とした。
あってはいけないことが起こる。キャラの立ち位置からは有り得ないはずの展開となる。

やはりヴァンスは只者ではない。王道に背を向けているわけではない。王道の楽しさを十全に味わわせた上で、思わぬところで逆転させるのだ。ギミックの面白さは相変わらずだ。
『憧憬反時代協会』は、自分たちが進んだ星からやってきたと信じる人々だ。その通りなのだが、社会的には否定されている。ネタバレ回避のため名前だけ挙げると、『泣訴』『悲愁聖餐式』『十二叩き』など、異文化ならではの驚きに満ちた世界だ。中世もどきでも西部劇もどきでもない。異なる世界としか言いようがない。芸のない西洋チャンバラや宇宙軍隊をダラダラ書き続ける作家は、見習ってほしいものだ。

ヴァンスの第一の特色は魅力的な異世界の構築にある。それ以外に、なぜこの作家がこんなに好みに合うのか、わかった気がする。この人は宗教と王族(貴族制度)を信用していないのだ。作中にその手のヤカラが出てきたら、例外なくペテン師か低能だ。これは私の信条と一致する。
もうひとつの特色は、心理描写の少なさ。リースはショッキングな事態に遭遇しても、まったく引きずらない。前向きというより無神経なのか。異様な世界を案内する主役として、まことに適切な男である。リースの二人の友人は、野生の武闘少年トラズと理屈っぽいディルディル人のアナコだ。この二人の掛け合いが楽しくて仕方がない。名シリーズである。★★★★★
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