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2016年03月13日18:41

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男役メイコ/「バラカ」

フォトフォト
『ACUTE』カイトのパートをめーちゃんで。男役はメイコが一番似合う。

・バラカ 作:桐野夏生
ひいき作家の新刊を入手したので、SF古書クエストを一時中断して読んだ。

福島の四基の原発がすべて爆発した、もうひとつの日本が舞台だ。絵空事とは誰にも言えない。絶対安全だったはずの原発が、事故を起こしたのは事実だからね。汚染地域が広がり、東日本は廃墟と化した。東北地方の住民は棄民となり、全国を放浪する。彼らの苦しみをよそに、西日本は大阪オリンピックに浮かれていた。

作者らしい暗黒絵巻が展開する。だが、何故か心に刺さらない。人物とエピソードが多すぎて、テーマがぼやけている。四十代独身女性の悩み・幼児売買の闇・在日ブラジル人たちの日常・人格に問題のある男の鬼畜ぶり、そして大震災と政府の対応。これらはすべて独立したテーマとなりうる。一作に詰め込んだために、散らかって支離滅裂だ。タイトルロールのバラカを描くなら、直接関係のないエピソードは削ったほうがいい。社会派テーマを追うなら、主要人物のあまりに奇矯な行動や異様な性癖は、かえって邪魔だ。
登場人物が馴染む間もなく死んでいくのも、いただけない。それほど人命が軽くなった世界を表現したのだろうか。作者の都合で整理されたような印象を受ける。

前半は社会派女性小説として、後半は残酷な政治的サスペンス小説として読むこともできる。スピーディーな文体や捻りの効いたプロットは健在だ。好意的に言えば一冊で二冊分楽しめる、と言えなくもない。次回はひとつの題材をじっくり掘り下げた作品を期待します。★★★
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