mixiユーザー(id:2615005)

2014年09月03日23:55

66 view

怪獣時代劇

たまにはミク色のない読書日記を。

・荒神 作:宮部みゆき
時代劇に怪獣が登場する作品は、映像にはいくつか存在する。TVの「仮面の忍者赤影」、映画なら東映の自来也ものと大映の大魔神がすぐに思い浮かぶ。しかし、時代小説で本格的な怪獣が登場する作品というのは、本作が史上初ではないか。

香山藩は隣国で主藩の永津野藩から、人狩りが目的の侵略をしばしば受けている。そんな折、香山の山村が見たこともない怪物に襲われた。九死に一生を得た少年蓑吉は、永津野領で保護される。これが大事件の始まりだった。

両国に視点人物を置き、複雑な事情とそれぞれの思惑を読者に理解させる手際は、さすがに小説巧者だけのことはある。大厄が降りかかったとしても、それを機会に手を取り合って協力できるほど人間は賢くない。とはいえ作者は、右往左往する群像を冷たく突き放しては描かない。
肩入れしたくなる純粋なキャラクターが何人も配置されていて、彼らが陰惨な殺戮劇の救いのなさを柔らげている。ヒロイン朱音はもちろんだが、ヘタレ武士の直弥や野生児やじがいい味を出してます。
永津野藩士が用いる鬼の面が効果的な小道具として印象深い。特にある人物の死に際する使い方に感心した。
体長十メートルを越え鉄砲も通さない強靭なウロコで覆われ、怪力と凶暴性に加えて強酸性の胃液を吐き掛け、おまけに保護色で透明になる怪獣は、主役の風格充分である。時代劇と怪獣物の融合を見事に果たした力作である。★★★★

0 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年09月>
日 月 火 水 木 金 土
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930