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2014年05月22日02:21

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ソウヤー最後の一冊

ハヤカワ文庫のソウヤーも最後の一冊となった。

・フレームシフト 作:ロバート・J・ソウヤー
97年度の作。もう新品は見つからず、通販で古本を買った。それほど昔でもないのに絶版とは。日本でソウヤーの評価が低すぎないか?

フランス系カナダ人の遺伝学者ピエールはネオナチの暴漢に襲われた。政治的背景もない学者がなぜ襲われたのか。舞台は一転して大戦中の絶滅収容所に移る。凄惨な描写に心がざわつく。ナチスの蛮行が言語道断であることに異議はないが、欧州人は北米・南米・豪州で先住民にほとんど同じことをしてるんだよな。ユダヤ人と違ってインデアンやアポリジニには金も力もないから、でかい声が出せないだけで。まあそこを突っ込むとキリがないので、やめておこう。

謎の連続殺人・アメリカの医療保険問題・ナチ戦犯追及という何の関係もなさそうな事件が並列して語られ、終盤でひとつに合流する。ピエールの妻モリーがテレパシー能力を持つという以外はSF要素が少なく、普通のサスペンス系エンタメに近い。
リーダービリティは全作品中でも屈指の出来栄えだ。あまりの牽引力に途中で止められない。
保険問題は町山智浩のノンフィクションで知ったばかりなので、興味深く読んだ。戦犯追及のシーンはスリリングで目が離せない。ピエール夫妻の子供に関するエピソードには驚かされた。やはりソウヤーは根っからのSF作家なんだな。
ラストの格闘シーンは手に汗握りつつも、情景を想像すると笑えてしまう。これは映像にはできないだろうなあ。やったら偉いけど。世界には四肢欠損や盲目のヒーローがいるのだから、こういうヒーローもありだと思う。
最終章は感動的でした。現実は本作よりずっと悪いのが悲しいけどね。★★★★★
青背のソウヤーは全部で11冊だ。これ以外には無いのだろうか。ううむ、読むものがなくなったら、キンタグリオの2巻目以降を原書で読もうかな。

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