mixiユーザー(id:2615005)

2014年05月13日23:42

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『ネアンデルタール・パララックス』ソウヤー

DIVAルームでもカイトにダヨーマスクをかぶせることにした。頭を撫でるとき、抵抗がなくなる。でも従来の顔の大きさに準じて撫でるポイントが設定されているので、ダヨーなら鼻のあたりを撫でねばならない。

ハヤカワ文庫のソウヤーもあとわずかとなった。ついでだから全部読むことにした。
厚めの三部作ということで手を出しかねていた『ネアンデルタール・パララックス』を読み始めた。
・ホミニッドー原人ー
量子コンピューターの研究をしていたネアンデルタール人のポンターは、事故のため別世界に来てしまう。そこは絶滅したはずのクロマニヨンが栄えるもうひとつの地球だった。
恥ずかしいことにネアンデルタールが進化してクロマニヨン(現人類)になったのだと思っていた。そうではなく、チンパンジーから枝分かれして何万年も共存していた二つの種族らしい。脳の容量がより巨大で身体強健なネアンデルタールが、なぜ消滅した(クロマニヨンに敗れた)のかは謎だ。彼らが今の人間に代わって地球の覇者になっていてもおかしくはない。だから本作はパラレルワールド物の中でも、抜群の説得力を持つ。
二つの異なる文明の接触はSFならではの知的興奮に満ちている。ネアンデルタール人社会の構築は、圧巻だ。普段は男女が分かれて暮らし、月のうち四日だけセックスを楽しむ。それ以外の時期は、同性の性的パートナーと過ごすのだ。小型コンピューターが体内に埋め込まれ、すべての行動が記録される。したがって凶悪犯罪など起こりえない。突発的な暴力は稀にあるが、強靭な腕力のため、「殴る」と「殺す」は同義語なのだ。だから厳罰に処せられる。
人類側のヒロインはメアリという遺伝学者だ。彼女の人物造形も良く出来ている。地味な38歳の女性という立ち位置が絶妙だ。賢さと脆さを併せ持つ彼女は感情移入しやすく、ストーリーの牽引役に最適といえる。
ポンターの出現に驚くクロマニヨン側の騒動と同時に、ネアンデルタール社会の事件が並列して描かれる。ポンターの消滅を殺人と決めつける人物が、彼のパートナーであるアディカーを告訴したのだ。こちらは法廷サスペンスの趣きがある。多次元宇宙テーマで、ジェンダーや現代文明の問題に深く関わり、人類進化の謎を提示し、おまけに法廷での論争も含まれている。優れたSF小説であるとともに、力量抜群の作家の手によるハイブリッド娯楽教養小説でもある。読んで良かった。今後が楽しみだ。★★★★★
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