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2013年02月04日14:03

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ヴォネガット短編集

あと数時間で日本に行きます。10日ほど日記を休むので、読書日記を書いておきます。
同一タイトルの短編集だが、二分冊されている。

・モンキー・ハウスへようこそ 1 作・カート・ヴォネガット・ジュニア
12篇収録。50年代に家庭雑誌に書いた作品だそうな。そのせいか、読み口が軽く辛辣な風刺はまだ見られない。ストーリーテリングの上手さと読みやすさは、さすがである。印象に残った作品は以下の通り。

表題作は、安楽死が推奨され子作りが罪とされる人口過密社会を描く。死を督促するホステスの描き方が、実に作者らしい。
『ハリスン・バージロン』は悪平等が徹底した未来の話だ。美しい人は仮面を、身体能力が高い者は重りをつけることが義務づけられているのだ。デストピアにも色々あるが、平等が人を苦しめるというのは初めて読んだ。
『フォスター家の財産目録』人はゼニのみにて生きるにあらず、誇りに生きるべし。素晴らしい。現在のアメリカ富裕層の子弟には理解不能だろうが。
『夢の家』夢は実現するためにあるのか、夢のままだから楽しいのか。痛い奥様を通して人間心理の奇妙さを描く。

SFよりは恋愛小説や人情小説が目立つ。鮮やかではあるが、私にはちょっと甘すぎるかな。★★★

・モンキー・ハウスへようこそ 2
13篇収録。こちらの方が好きな作品が多い。
『孤児』戦争が生んだ混血の孤児と兵士たちの、つかの間の交流を描く。人情話もこれだけ高品質なら、読む価値がありますね。
『バーンハウス効果に関する報告書』作者の反戦作家としての側面が強く出た一篇。これが現実なら、どれだけ良いだろう。本書の白眉である。
『嘘』名門高校は入学式で賑わっていたが、少年は重い秘密を抱えていた。辛さと痛みが心を直撃する。結末も秀逸だ。

『未制服』新人類VS旧人類というありがちな題材ながら、捻り方が一味ちがう。
『人間ミサイル』宇宙で息子を失った二人の父親の往復書簡だ。この二人はアメリカ人とソ連人なのだ。冷戦時代の宇宙開発競争を、ハートフルな短編に仕上げる技量には感心する。宇宙時代に託した平和の祈りが切ない。現実には宇宙開発は頓挫しているし、世界は冷戦時代より険悪になってるもんな。★★★★

それでは皆様、札幌へみくみくしに行くので、しばらくお別れです。ブータンさん、向こうで会いましょう。
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