今日見終わりました。全40話、途中で中断するかと思ったけど、続きが気になって全部見てしまいました。
前回からの続きです。明月社に入団した小紅(セシリア・チャン)は、連日レッスンに明け暮れる。同年代のライバルたちが個性豊かで魅力的だ。
趙花は幼馴染で、両親を説得して小紅を学校に通わせてくれた恩人でもある。
白莉英は親が音楽家で歌が上手い。物静かなお嬢さん。
王心芳は山東から来た田舎娘。気が強いが、さっぱりした性格だ。
沈リンリンは両親を日本軍に殺された孤児。最初はおどおどしていたが、仲間たちの励ましで徐々に明るさを取り戻す。
特にヒロインと最も付き合いの長い趙花のキャラクターが出色だ。こういう連続ドラマでは、キャラクターが単調な善玉悪玉になりやすい。彼女は貧しい小紅に芸能界への道を開いてくれたくらいだから、親切で良い子なのだが、金持ちの娘なのでわがままだ。嫉妬心も人一倍強く、才能を認められた小紅が引き立てられると、他のメンバーを煽って意地悪したりもする。かと思うと一緒に努力する場合は、頼りになるいいお姉さんだったりもする。行動の矛盾ぶりがリアルでいい。
私は女の子が健気にがんばる話が好きなので、この少女パートが一番好きだ。教師の中に往年のスター女優がいる。月影先生みたいな人だが、阿片に溺れて廃人同様になっているところが、いかにも昔の上海である。こういう陰影も絶好のスパイスになっている。
彼女たち五人は「五輪の花」と銘打って売り出され、劇団の人気者に。だが時代は映画全盛期。しだいに劇団の経営は苦しくなり、心をひとつにしていた五人娘も別々の道を歩まざるを得なくなった。
このドラマが飽きずに見られた理由は、一種の群像劇だからだ。ヒロインはもちろんセシリアだが、他の四人もかなり重点的に二十代後半までの半生が描かれる。ある者は一途な愛に生き、ある者は幸福な結婚をし、ある者は日本軍の侵略と戦う道を選ぶ。彼女たちは折にふれ再会し、また別れがくる。いつも思い出すのは苦しくも楽しかった練習生時代なのだ。
周小紅は歌と映画で早々とブレイクして周璇と改名する。出世作「馬路天使」(街角の天使)の中で自ら歌っているのがタイトルの「天涯歌女」だ。訳すなら『さすらいの歌姫』とでも言うのかな。
芸能界での上昇志向が五人の中で最も強い趙花は、周璇の成功に嫉妬し憤る。様々な手段で彼女に成り代わろうとするが、才能の差という壁が冷厳に立ちはだかる。空しく醜いあがきが、実に共感できます。
後半はセシリアが生活力のない夫との結婚生活に破れたり、日本軍の支配が終わったと思ったら陰惨な「裏切り者狩り」が起こったり、生臭く嫌な展開になる。この部分も目が離せないほど面白いが、ちょっとわざとらしく作りすぎているきらいがある。同じようなネタが繰り返し使われるのも、マイナスポイントだ。
最終回も、もう一工夫してほしかった。でも充分に楽しませてもらいました。現時点では本作がセシリアの貴重な最後の映像作品だ。
また銀幕で彼女に会える日が来るのだろうか。周璇と違って現実のセシリアは子供にも恵まれ幸福な結婚生活を送っているらしいので、難しいかもしれない。★★★★
ログインしてコメントを確認・投稿する