・人魚の嘆き・魔術師 作:谷崎潤一郎
中公文庫である。作者は特に好きではないが、何冊か読んだことがある。
「人魚の嘆き」(1917)
水島彌保布という画家のイラストに惹かれて買った。彌の字は左側の弓が無い。色っぽい人魚さんが素敵だ。大正時代の日本にこんな見事な裸婦を描ける画家がいたのか。
清朝の貴公子がオランダ人から人魚を買う。男はその美しさに魅了され、1日中水槽で泳ぐ彼女を眺めるようになった。耽美的な文体で白人の美しさを褒め称える。それだけの話である。
「魔術師」(1917)
何処とも知れぬ公園で、性別不明の魔術師が変身魔法を披露する。主人公と彼女は半羊神になった。いま単独で読むと「何だそりゃ」という話だが、江戸川乱歩に多大な影響を与えたらしい。そう言えば風景は「パノラマ島奇談」を思わせるな。
性愛絡みの人間模様で有名な作家だが、日本の幻想小説の始祖でもある。



ログインしてコメントを確認・投稿する