『悪魔が来たりて笛を吹く』(79)監督:斎藤光正
西田敏行が金田一を演じる角川映画だ。無理矢理活劇に仕立てた片岡千恵蔵主演の54年版に比べると、原作の陰惨さを忠実に再現している。
旧作では近親相姦の子は幼児のころ死亡していたが、本作では小夜子がその立場だ。三島は単なる新宮の隠し子である。異母兄妹である二人は、愛し合ってしまったことを呪い、一族の殲滅を図る。原作では小夜子は物語開始時点で自殺しており、54年版ではそもそも登場しない。本作は二人にスポットを当てた悲恋物語として再構築した。狙いはまずまず当たっている。破局に向かうサスペンスはかなりの盛り上りだ。ただし、私が履修済みで解像度を上げていたせいもある。単品で本作を鑑賞した人は全容を把握出来るだろうか。アキコ夫人と実の兄が肉体関係を持っていることや小夜子がその子供である事実は、もう少し分かりやすく語った方がいい。
ある意味諸悪の根源である淫乱奥様アキコは、34歳の鰐淵晴子が演じる。彼女の凄みのある美貌が人外の怪物女によく似合っていた。西田の金田一は、他作品とは一線を画す人情味が感じられ救いになっている。




ログインしてコメントを確認・投稿する