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2026年03月23日14:07

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「たそがれ酒場」「踊子」

レトロ日本映画を二本レビューします。
「たそがれ酒場」(1955)監督:内田吐夢
私の生まれ年に公開された。もちろん白黒。酒場の開店から閉店までの1日をスケッチする。カメラは店内に固定されていて、外は写らない。戦後十年目の世相が見事に描かれている。この店は今の居酒屋に音楽のサービスを加えたような店で、専属のピアノ弾きがいる。ボーイやウェイトレスが仕事着のままステージで歌う。曲は「桜」「トラジ」「ソーラン節」から「カルメン」の闘牛士の歌まで色々だ。知っている曲は客が立ち上がって唱和したりする。楽しそうだ。
学生たちが肩を組んで労働歌を歌うと、もと将校の老人(東野英治郎)がそんな歌止めろと怒鳴って軍歌をがなり立てる。いかにもありそうな風景だ。文無しで他人に酒をタカる男もいる。ある事情で筆を折った絵描きと酒場のピアニストがしみじみ語り合うラストは余韻を感じる。貴重な文化風俗資料と言えるかも。☆☆☆☆

「踊子」(1957)監督:清水宏
原作は永井荷風。起伏に富んだストーリーだった。浅草で踊り子をやっている姉(淡島千景)の元に妹(京マチ子)が上京してくる。
二人の大女優は共に1924年生まれで30代だが、20代前半にしか見えない。浅草レビューの華やかさに心が弾む。淡島は宝塚、京はOSK出身なので舞台はお手のものだ。仲見世通りや花やしきの賑わいは、今となっては稀少な映像だ。
端正な淡島に比べて、京は肉付きが良く愛嬌がある。セクシーと言うよりは可愛らしい。舞台監督や姉の亭主を誘惑する。困ったちゃんの妹と生真面目な姉の対比が画面に緊張感をもたらす。
思わぬ拾い物だった。この時期の邦画はいいなあ。☆☆☆☆
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