『奈落のマイホーム』(2022) 監督:キム・ジフン
韓国映画にあって日本映画にない要素は何だろう。それはアイデア一発を一本の映画に仕上げる馬力だ。日本にだって面白い映画は山程あるが、魅力を伝えるために数分は語る必要がある。本作は一言ですむ。
「新しく買ったマンションが500メートルも地盤沈下してしまうんだよ」。これだけだ。
チョン課長がやっと買ったマンションはヒビが入ったりガラスが割れたり、認めたくないが欠陥住宅のようだ。先輩居住者は息子と二人暮らしで、何やらクセのある男だ。部下たちを呼んで引っ越しパーティーの最中、マンションが丸ごと地下に落っこちる。シンクホールという現象らしい。地盤沈下というより、地底への墜落に近い。今までのディザスター映画では見たことのないシーンに息を飲む。
五人はあの手この手で生きのびる。命に関わる災害だが、個々のアクションがコントみたいで笑える。この状況で笑いを取れるセンスとバランス感覚が素晴らしい。
特撮・アクション・ユーモアに家族の感動ドラマも加わり、これ一本で面白い映画の要素をすべて味わえる。
社会問題を超絶娯楽作にしてしまう韓国映画人の力量に脱帽だ。映子さんはともかく、ヤンヤンの推奨するアジア映画は外れがない。★★★★★
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