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2024年07月31日16:24

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「愚か者、中国をゆく」

・愚か者、中国をゆく(2008) 著:星野博美
著者は、香港中文大学への留学経験がある。その後も香港と中国への深い愛着から、興味深い滞在記を物している。私も香港には80年代からゼロ年代にかけて二十回以上訪れ、中国本土にも何度も行った。
日本人の書く香港・中国本は薄っぺらくて物足りない。例外は山口文憲と著者くらいだ。愛とリスペクトを込めて、しかし媚びることなく80年代の中国が生き生きと描かれる。

86年、日本人のアメリカ白人への追従ぶりに辟易した著者は、香港に留学する。ここでも事情は変わらず、東洋人の白人好きにウンザリする。同感だ。
87年、留学生仲間のアメリカ人マイケルとシルクロードを目指して旅立つ。自力で切符を探して、硬いベンチのような座席で数日がかりの旅を続ける。さりげない旅のひとこまが愛おしい。私が大陸に足を踏み入れたのはこの数年後だ。すでに兌換券は廃止されていた。軟弱に旅行社を使ったので筆者ほどの苦労はなかったが、懐かしくて楽しかった。北京の駅で売店のおばさんに品物を見せられ、「これは何だ?」と尋ねられた。ロシア語のラベルで、もちろん読めない。大きさと重さから練り歯磨きと推測して、身振りで伝えた。合ってただろうか。外国人なら外国語が読めるという思い込みが、いかにも開放間もない時期らしい。
いつも一心同体とは行かず小さな争いも多いが、中身の濃い珍道中が面白い。最後のフレーズが心に響く。
「国と人を同一視すべからず」
外国について発言する場合は魂に刻むべき名言だ。
★★★★
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