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2024年07月13日17:06

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イスラエルSF「シオンズ・フィクション」

・シオンズ・フィクション(2020) 訳:中村融
2018年にアメリカで出版されたイスラエルSFの短編集だ。存在自体がSFじみている国のSFとはどんなものか。往年のソ連SFに近い意味で興味をそそられた。16編の短編の半数以上は普通にSFとして楽しめたが、独特の味わいを持つ作品は残念ながら多くない。ユニークで印象に残る作品を紹介しよう。

「完璧な娘」ガイ・ハソン
超能力者の学園における実習で、死者の心を読む。陰鬱で哲学的だ。一般文学に近い。
「シュテイン=ゲルラッハのネズミ」モルデハイ・サソン
高度の知能を得たネズミと人間が戦争する。ポンコツロボットの『ブリキの物乞い』がいい味を出してる。間断なく戦争を続ける社会で生まれた作品らしいと言えるか。
「夜の似合う場所」サヴィヨン・リーブレヒト
謎の災厄で世界が滅びた。生き残った人々の苦闘を生々しく描く。
「エルサレムの死神」エレナ・ゴメル
恋人は射殺担当の死神だった。死因によって異なる死神が存在する。ダークファンタジーの佳作である。ちょっと『チェンソーマン』を思わせる。

「信心者たち」ニル・ヤニヴ
神は実在した。戒律に反すると、その場で無惨な死が訪れる。宗教ゆえに建国された国で信仰デストピアを描くとは。当たり前の話だが、強権的な宗教に反発しているイスラエル人もいるんだな。
「ろくでもない秋」ニタイ・ベレツ
宇宙人に拉致された友人はカリスマ教祖になってしまう。巻き込まれた驢馬は言葉を話せるようになった。最もイスラエルらしさを感じた。

珍しい物を読ませてもらった。翻訳の中村氏と竹書房に感謝したい。★★★★
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