・金星の蟲(23) 作:酉島伝法
アンソロジーで何作か読んでいる。存在しない漢字や造語を多用し、説明は一切しない。SFファン以外は読み通すことが不可能だろう。八本の短編のうち、イマジネーションの奔流に浸れる作品とぶっ飛び過ぎでついていけない作品が半々くらい。理解しやすい作について語ります。
表題作は、工場勤務の男が便秘に悩んでいる。やっと出たと思ったら、奇怪な生物だった。寄生虫と共存する日々の始まりだった。生理的な不快感が癖になりそうな排便系幻想譚である。
「環刑凅」凅の字は金へんだ。父親殺しの受刑者は巨大ミミズに改造される。ミミズ主観の日常が珍しい。と言うか人類初の試みだろう。
「痕の祀り」ウルトラシリーズのSF的解釈だ。視点人物が怪獣の死体処理職員というところがユニークだ。ヒット漫画や駄作映画よりこちらが早いと思う。
「堕天の塔」果ての見えない鉄塔をよじ登りながら戦闘を繰り返す。陰性の迫力が心に響く。
読者を選ぶ作家ではあるが、唯一無二の個性であることは間違いない。★★★★
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