小説の上下巻は全部読んでからレビューするのが習慣だったが、長くて読了がいつになるかわからないので、取り敢えず上巻のみレビューする。
・ふぉん・しいほるとの娘 上 作:吉村昭
上巻だけで700ページ弱のボリュームだ。タイトルロールのシーボルト稲が誕生するのは200ページ当たり。
じっくりした作りの大長編である。これで退屈なら文句の一つも出るところだが、めったやたらと面白い。
幕末の世相を俯瞰しつつ、長崎という当時の日本で唯一の国際都市を生き生きと描く。分かりやすく豊かな情景に引き込まれた。
シーボルトと遊女・其扇(そのおおぎ)の愛欲の進展から目が離せない。政府の密命を受けて日本地図を入手せんとする活動は、下手なスパイ小説そこのけの迫力である。両親から美貌と知性を受け継いだ美少女稲が女医を志すところで上巻の終わり。期待が高まる。★★★★★
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