結成から十数年、さっぱり売れない歌謡ムードコーラスグループ「山田修とハローナイツ」。東北地方をドサ回りするなか、ある田舎町で出会ったのは歌手を夢みる女性・愛(のん)。いきなり彼女はグループに入りたいと言い出し…。はは〜ん、これは脂っこい連中を周囲に配して、のんの透明感をより際立たせる企画ものかと当初は思っていた。
ところがこの物語、ラサール石井や小宮孝泰を中心に、25年以上前から何度も演じられてきたシリーズ物の舞台作品だという。そのあいだ彼らをふくむハローナイツのメンバー役はずっと変わらないまま、なるほどステージ場面の息の合ったやりとりや、楽屋でグループ存続をめぐってやり合うシーンの迫力は、年季が入っている証しということ。
いわゆる”成功譚”的な展開は何度観てもわくわく。それだけに最終盤の急展開にはちょっと面食らってしまった。物語の結末そのものにも是非はあるだろうし、とりあえずはあんなに端折ることなく、もっと丁寧に描くべきではなかったかと。伏線的に物語をひっぱってきたある件は結局ほったらかし、それは観る側の想像力にゆだねるということか。
それでも東北弁と関西弁のぶつかり合いは面白く、歌詞をしっかり字幕で流しながら、次々とたたみ掛けられる昭和歌謡名曲の数々は圧巻、太平サブローやのんの歌声も想像以上に力強く迫ってくる。こういう作品こそたとえ音響的な環境は良くなくても、ガラガラの場末の映画館で観たいもの。もっともいま映画館はどこもガラガラだけど。
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