・最終戦争/空族館 作:今日泊亜蘭
ちくま文庫の復刻SFだ。「光の塔」は第二弾で、本書が幕開けらしい。
50〜70年代に書かれた短編やショートショートが40篇収録されている。さすがに古めかしさは否めず、途中でオチがわかるものや単純すぎるものが散見される。
短い作品ほどその傾向が強い。ワンアイデアものは古びるのが早いのか。が、ある程度の長さがある作品は感心させられる佳作が多い。
『溟天の客』片田舎におけるファースト・コンタクトは、最悪の結末を迎えた。村人に見下されている娘(精神に障害がある)だけは彼らの真意を理解していた。切ない読後感を残す佳作だ。
『カシオペヤの女』心惹かれるのに、なぜか近づけない女性がいる。宇宙的スケールの悲恋SFである。設定が強引すぎる気もするが、大時代な文体が物語によく合っている。
『最終戦争』ベトナム戦争が長引いて第三次大戦に発展する。エンタープライズ�犬離屮螢奪犬法△海箸發△蹐Δ縫好拭璽螢鵑�現れた。すぐに中止しないと地球は全滅する、と警告するのだが。結末にレトロSFでおなじみのアイデアが登場するのは、やや拍子抜け。
もうひとつの表題作『空族館』は、木星探検隊の珍妙な運命を描く。失敗した探検は普通は悲劇になるが、本作は思い切り笑える。今回発見された未発表作だ。
戯曲『怪物』が秀逸だ。光速で飛ぶ宇宙船内部に怪物が出現する。知恵を絞って正体を探り、対策を練るところが実に面白い。上演してほしいが、SFファンにしかわからないか。
短編では『ロボット・ロボ子の感傷』が良かった。デル・レイやメインに似たアイデアがあるが、偶然だろう。
短編を少年誌(少年チャンピオン)向けにリライトした短縮版も掲載されていて、今日泊さんの業績を俯瞰できる。レトロSF愛好家や日本SFを知りたい人は必読だ。★★★
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