mixiユーザー(id:2615005)

2017年10月04日01:31

377 view

ターザンシリーズ『逆襲』『双生児』『豹人間』

たまっている読書日記を片づけて行こう。タイへの旅行中と戻ってからの数日で読んだ。
ハヤカワ文庫のターザンシリーズもあと6冊だ。まずは3冊まとめて。

・ターザンの逆襲(1915)
シリーズ4作目と初期の作品だが、翻訳順はかなり後ろだ。初版が1982年。そのせいで訳・高木豊 画・武部本一郎の黄金コンビではなく、長谷川甲二の訳と加藤直之の挿絵である。
長谷川には黒人に田舎言葉「〜ですだ」を使わせる悪い癖がある。場面によっては普通に話すこともあり、一定していない。武部と加藤では、絵から匂い立つ艶やかさが雲泥の差である。同じように半裸の女性を描いても、武部からは芸術的な美を感じるが、加藤はただのエロイラストにしか見えない。
まあ文句を言ってもしかたない。本作を読むと、翻訳が後回しにされたのに納得する。
成長したターザンの息子ジャックが、サーカスに捕らわれた類人猿を故郷に帰してやる。ところが類人猿が悪人を殺してしまった。「もう家に帰れない」と思い詰めたジャックは、ジャングル暮らしを始める。あとは第一作の焼き直しみたいな展開になる。

十代半ばまで文明国で暮らした少年があとから猿人もどきになるのは、どう考えても不自然だ。もし原作刊行順にしたがって四冊目に出ていたら、日本の読者に見捨てられていただろう。どうにも困った作品だが、アラブ人盗賊やスウェーデン人密猟者(なぜか北欧人はバロウズ作品では悪役だ)が幼いころ誘拐された白人少女と絡むストーリーは波乱万丈で充分に楽しむことができる。やっつけ仕事でも、腐ってもバロウズである。★★★

・ターザンの双生児(1924・1936)
二度にわたって児童書として発表された。人によってはシリーズに加えないこともあるらしい。主人公はターザンの遠縁にあたる少年たちで、ターザンの出番は少ない。
前半はジャングルに迷い込んだ二人が、知恵と勇気で危機に立ち向かう。後半はオバルから追放された邪教徒や人食い人種の手から少女を守って戦う。
手品の技術で無知な土人をだましたりするシーンが、いかにも昔の少年小説という感じだ。天真爛漫で真っすぐな少年コンビの活躍は、読んでいて気持ちがいい。二人はターザンのような超人ではないから、よく失敗する。「だから言っただろ」「じゃあ君がやれよ」などという掛け合いが子供らしくてかわいい。★★★★

・ターザンと豹人間(1935)
さすがにネタが尽きたか、疲れの見える19作目。本書も長谷川・加藤の担当だ。
豹の毛皮をかぶった邪教集団が猛威を振るう。秘密結社のようなもので、ふつうの部族の中にも豹男は潜伏しているのだ。アイデアは面白いが、バロウズの描くアフリカに秘密結社はあまり似合わないな。
ターザンは事故で記憶を失った。純朴な黒人戦士オランドの「あんたは俺の先祖の霊に違いない」という言葉を信じてしまう。そんないい加減な。で、自分の名前を忘れたのに技術や知識はそのままで、大活躍する。フィクションの記憶喪失は、たいていデタラメだけどね。豹男団との闘いは相変わらずスリリングだ。白人の男二人と女一人がゲストで、例によってロマンスがある。記述が矛盾しており辻褄の合わないところがあるが、ハッピーエンドを約束された娯楽小説の安心感は健在だ。
★★★
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年10月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031