mixiユーザー(id:2615005)

2017年06月14日22:20

330 view

ワールズ・ベスト1968

・ホークスビル収容所 ワールズ・ベスト1968

1967は最初にレビューしたので、本書が最後の一冊だ。
表題作(ロバート・シルヴァーバーグ)は、政治犯の流刑地を描いた力作である。場所はなんと後期カンブリア期の地球。恐竜どころか魚もまだ発生しておらず、収容者たちは三葉虫やイカの先祖みたいな頭足類を食べて生きている。これだけ昔だと、パラドックスも起こるまいという政府の判断だ。もちろん終身刑で、もとの時代に帰れる見込みはない。
囚人たちの群像劇は読みごたえがある。この時代に生きがいを見つけようとする者もいれば、心が壊れて自分の世界に閉じこもる者もいる。ある日、久しぶりに「新入り」が送られてきた。政治犯にしては話がかみ合わず、素性が知れない。リーダーのパレットは違和感をもつ。

結末があっけないのが残念だが、これ以上ない極限状況のムショ暮らしというのはSFでしか描けない題材であり、パレットの指導者らしいヴィジョンに感心した。ほかの囚人たちもそれぞれ印象に残る。本書の価値の半分くらいは、この中編にある。

『いなかった男』(R・A・ラファティ)は残酷な悲喜劇で、妙な後味が残る。
『われらかくシャルルマーニュを悩ませり』(同上)は、解説にあるようにウィリアム・テンの『ブルックリン計画』と同じアイデアだ。ラファティのほうが俗っぽいというか、読者に親切かもしれない。

『恵まれざる者』(ラリイ・ニーヴン)ある惑星には、陸のイソギンチャクのような固定性動物がいる。身長3メートルほどの生物は、なぜか巨大な脳と小さな両手を持っている。彼らに知性はあるのか、あるとすれば何に使うのかーーという疑問を解き明かす。生物学SFとでもいうのか。ニーヴンはさほど好きな作家ではないが、本作はかなり気に入った。

『反重力ビリヤード』(アイザック・アシモフ)いかにもアシモフな佳作だが、短編集で読んでいた。
『おれには口がない、それでもおれは叫ぶ』(ハーラン・エリスン)怒れるエリスンの面目躍如といった一作。人類絶滅後、四人だけの生き残りは巨大コンピューターの体内に閉じ込められていた。苦痛と絶望だけが延々と続く。嫌なのに目が離せない。カルト的人気を誇るのも当然だ。
★★★★
1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年06月>
日 月 火 水 木 金 土
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930