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2017年06月12日23:08

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ワールズ・ベスト1966

・忘却の惑星 ワールズ・ベスト1966

昨日の続きで、通算二冊目。本アンソロジーらしい特色が出てきた。前衛小説やファンタジー寄りは排して、なるべくSFらしいSFを並べるという方針である。今読むと当時のSF界を俯瞰できる貴重な資料ともなっている。全四冊のうち、本書だけは自己発掘だ。

表題作(ジェイムズ・H・シュミッツ)は、星間戦争の話だ。『悪鬼の種族』と同じで、作者の戦争アクションは主人公が幸運すぎる。あるいは敵がマヌケすぎる。なにもかもうまく行くと、かえって面白みがない。と思っていたら、終盤に驚異の逆転劇が待っている。評価がぐっと上がった。

『太陽からの風』(アーサー・C・クラーク)は傑作だが、既読だった。
『時計じかけの医者』(ロン・グーラート)
未来の病院では、アンドロイドが医者をやっている。主人公は見舞いに行っただけなのに、精密検査のうえ入院を強制される。とにかく笑える。
『居留区』(ヴァーナー・ヴィンジ)
「北世界大戦」で北半球は全滅してしまった。南米・豪州・アフリカが三大強国として覇を競っている。南米帝国とオーストラリア連邦の探検隊は、南極に住む未開部族を発見した。彼らの正体は、絶対にアフリカ人に知られてはならない。なぜなら・・・。安手の古いSFでは「何が起こってもアメリカ人(白人限定)だけは生き残る」というのがお約束だ。真っ向から否定したのが本作である。現実にはこちらのほうが起こりやすそうだな。

『河を渡って木立を抜けて』(クリフォード・D・シマック)
19世紀末の素朴な農村が舞台だ。突然訪ねてきた二人の子供たちは、何か妙なところがある。牧歌的な風景の背後に悲劇を秘めた佳作。
『「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった』(ハーラン・エリスン)
本書の目玉作品といっていいだろう。管理社会で命がけで道化を演じる男を描く。ポップな文体と奇天烈なガジェット、皮肉に満ちた顛末が作者らしい。
『決断者たち』(ジョセフ・グリーン)
地球人入植者と現地のアザラシ型知的生物の紛争がテーマだ。結末がリドル(謎)なのがいい。

『未収録作品』(リン・カーター)
コンピューターに何万日もアルファベットを無作為に打たせると、いずれ素晴らしい文学が出現するはずだ。へっぽこファンタジーのカーターがまともなSFを書いていて驚いた。
『うちの町内』(R・A・ラファティ)
変な住民の楽しいお笑い話である。意味のないところがいい。

65年版よりは、ずっと楽しめた。さて、翻訳があるのは残り一冊だ。★★★★
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