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2017年04月04日23:54

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銀背でシェクリイとゴードン

古書店で買った銀背から行きます。

・宇宙人フライデイ(56)作:レックス・ゴードン
初めて読む作家だ。解説で都築道夫が「作者の情報がない。イギリス作家と思われるが、オーストラリア人かもしれない」と書いている。そんないい加減な解説があるか!と言いたいところだが、ネットの存在しない60年前は海外の情報を入手するのが困難だったのだろう。

で、英国作家だった。七編ほど長編を書いたらしいが、翻訳はたぶん本作のみ。忘れられた無名作家と言えるだろう。軌道を回って撮影する予定だった宇宙船が事故に会って、主人公以外は死んでしまう。主人公は火星に不時着してサバイバルを始める。
無邪気な宇宙活劇と一線を画する狙いだったのだろうが、ハードSFと呼ぶにはあまりにヌルい。着陸する予定がなかったのに火星に着いてしまうなんて有り得ない。難破船が島に漂着すのとはわけが違うぞ。ロビンソン・クルーソー気取りで自家製探検車を作ったり現地生物と出会ったりする場面は、まあまあ面白い。終盤は腰砕けだ。★★

・宇宙市民(55)作:ロバート・シェクリイ
ああ、安心できる。居心地がいい。SFの原風景ですな。いわばおふくろの味だ。

12編を収録した短編集だ。どれも高品質だが、特に気に入った作だけ紹介する。
『名前のない山』惑星開発事業は、原因不明の事故多発に悩んでいた。今となってはありふれたオチだが、時代を考えるとかなり先進的である。
『さわるべからず』悪意のない異星人と地球のゴロツキ三人の駆け引きがスリリングだ。
『狩猟の問題』こちらは異星人が地球人を獲物として付け狙う。血なまぐさい展開を予想させておいて笑わせてくれる。洒落てるなあ。

『無から有』突如出現した「万能機」は、どんな望みもかなえてくれる。だがそんな上手い話があるわけないーーよくある趣向だが、強烈さは本作が一番だろう。最高のお気に入り。
『トラナイへの切符』ユートピアの裏に隠された黒い事情とは。奥さんを冷凍したり、ホールドアップや乞食は政府公認だったり、珍妙な社会制度が楽しい。『徘徊許可証』は大好きだが、ほかのアンソロジーで読んでいた。
表題作は当時流行していたスパイ小説のパロディだ。唖然とするようなハッピーエンドが嬉しい。
SFが幸福であった時代の珠玉の作品集である。★★★★
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