レーシングミク16ちゃんのねんどろ。


かわええ。
・天界の眼 切れ者キューゲルの冒険(66)
ジャック・ヴァンス・トレジャリーの第二弾だ。
科学が衰退して魔法が復活した世界が舞台である。大魔法使いの家にコソ泥に入ったキューゲルは、捕えられて呪いをかけられる。肝臓に寄生虫が絡みつき、約束を破ると締め付けるという嫌な呪いだ。キューゲルは魔法使いに命令され、仕方なく魔力のこもった尖塔を求めて旅に出る。
何とも冴えない冒険の動機である。行く先々で奇怪な種族と風変わりな風習に出会うのがストーリーの骨子だ。奇天烈な社会を描くのは十八番のヴァンスだけに、ページをめくる手が止まらない。矢継ぎ早に訪れるピンチをどう切り抜けるかが読みどころだ。お気楽で楽しい。ただし大量に人が死ぬ。キューゲルはおよそ主人公らしくない。切れ者と自称しているだけに、姑息な悪だくみには長けている。が、根本が間抜けな上に運が悪い。いわゆるヒロイック・ファンタジーの英雄の正反対と思えばいい。
武勇も魔力もなく、武器は悪知恵のみ。自分が助かるために他者を犠牲にする。普通の冒険譚ならヒロインになりそうな女性がしばしば登場するが、こんな奴に惚れるはずもなく、小エピソードの終わりに逃亡するか行方不明になる。実際はこんなものだろうな、と妙な納得をしてしまう。
およそ現実離れのした話なのに、変にリアルなのだ。飛翔する想像力と生臭い生活感が無理なく両立している。ヴァンスが大好きな理由は、これかもしれない。
次作は宇宙を舞台に歌劇を演じる「スペース・オペラ」だそうだ。楽しみだなあ。★★★★★
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