mixiユーザー(id:2615005)

2016年07月29日15:58

238 view

『悪徳なんかこわくない』/アメリカSFが心配だ

・悪徳なんかこわくない(71)作:ロバート・アンスン・ハインライン
年老いた富豪ヨハンは、死後脳移植によって生まれ変わった。新しい肉体は若い女性、しかも可愛がっていた秘書のユーニスのものだった。

男が女の体を持つなんて、当時でさえそれほど珍しいアイデアではない。短編用の一発ネタみたいなのを上下巻830ページの分量に引き伸ばしてある。やたらと会話が多く、主要キャラがほとんど室内から出ないのだ。退屈きわまりなし。70年以降のハインライン作品は、長大化に反比例してつまらなくなっていく。本書で打ち止めにする。
時代(近未来)のニュースが挿入される。この部分はちょっと面白い。女優がスカイダイビング中に出産し、その地点がアメリカとメキシコの国境上空だった。赤ちゃんの国籍はどっちだ?なんてのは、バカバカしくていい。もっとこういう趣向が多ければよかったのに。
訳者の矢野徹さんが英文を訳すときの技術について解説で語っていて、興味深い。本文より解説が面白いてのも困ったものだなあ。★

以前の日記に書いたように、4月21日からミク39日間MIKUEXPOを追いかけてアメリカ周遊してきた。ワークショップに参加するため、各地で本屋に立ち寄った。主要目的はもちろんミクだが、せっかくアメリカにいるのだからとSF小説を探した。ない。ほとんどない。

Sci-Fiという看板はかかっているが、コーナーが狭い上に「スターウォーズ」やなんかの映画ノヴェライズばかり。あと甲冑を着たオッサンが表紙の本がチラホラ。懐かしい大御所たちはもちろん、比較的近年のブリンやベアやベンフォードさえ一冊も見かけなかった。レジェント作では、わずかにアシモフの「I,Robot」があったので買った。火星シリーズの三作合本版も発見したが、文字だけの表紙でイラストさえ無いので、買わなかった。
それだけだ。言っておくが、イベントをやるくらいだからかなりの大型書店だぞ。田舎ではなく大都会の話だぞ。シマックもハミルトンもヴァンスもヴォークトも一冊もない。大丈夫かよ、アメリカ。
日本でSF冬の時代といわれて久しいが、まだ新作は書かれているし、大型書店にはそれなりに内外の作品が並んでいる。アメリカの冷え込み方は日本をはるかに上回るな。

ヒューゴーやネビュラにろくでもない作品が選ばれるはずだよ。下手すると「今年のSF長編は一作だけだから、ほかに選択肢がない」という理由で選ばれてるのかも。ワールドコンはまだやってるし、死滅したわけでもないと思うが。電子書籍が主流なのかもしれないが、この寂れ方は異常だ。
なんだかんだ言っても、日本語ネイティブのSFファンは恵まれている。自国に優れた作家がいる上に、英米の名作は古本で探せばだいたい読める。もはや英語圏より日本のほうがSFの本場なのでは。


2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年07月>
日 月 火 水 木 金 土
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31