金星シリーズに着手した。
・金星の海賊(1935)
バローズのSF三大シリーズのうち、最も後期に書かれた。それでも80年前だ。
火星探検に出かけたカースン・ネービアは、月の引力を計算に入れ忘れていたため(あのなあ)軌道が狂って金星に不時着してしまう。革命軍ソーリストに追われる王妃ドゥーアーレーを助けて、ネービアの活躍が始まる。
火星シリーズの姉妹編のようなシリーズだが、大きな違いがいくつかある。
1.火星よりはSFぽい。宇宙旅行にはロケットが必要だし、戦争は主として砲撃や銃撃によって行われる。火星のようにライフルをうっちゃって剣戟はやらない。まあ普通は銃を持ってたらそっちを使うわな。でも白兵戦も多い。
2.政治的主張が全面に出ている。怠け者と不平分子の集団ソーリストは、明らかにソシアリスト(社会主義者)のメタファーだ。社会主義は少なくとも奴隷制度を含む封建主義よりはマシだと思うが、本書の主張は正反対だ。バローズは奴隷が悪いとは思ってなかったらしい。いっぺん自分がなってみろよ。
王党派は全員が美形で賢くて強い。革命政権はその逆だ。身分が低いといっても、そう何もかも駄目ということはないと思うが。労働者の国ソヴィエトはナチスドイツを実質的に殲滅したし、人類初の人工衛星を打ち上げた。人民が王族をブチ殺したフランスだって、昔に比べてそれほど劣化してはいない。アメリカ人にこんなこと言っても聞かないだろうけど。
異世界の言語に凝ったりするディテールは面白い。SFギミックとしては鳥人がユニークで印象に残るが、踏み込みが足りず物足りない。海戦主体のアクションはなかなか読ませる。★★★★
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