アルバム3枚をリリース、ソロ・アーチストとしての創作活動がもっともさかんだった 1973年から75年にかけてのジョン・レノン。この時期における彼の私生活は、ヨーコの元をしばし離れてもともとは秘書だった女性メイ・パンと暮らす日々。その若き中国系アメリカ人の目を通した、ありのままのジョンを綴っていく。
どれだけ月日を重ねても尽きることのないビートルズものドキュメンタリー。重箱の隅もとうとうここまできたかと思いきや、これがなかなか興味深くあっというまの94分。その大きな要因は豊富な資料をベースにしたテンポよく巧みな編集。とりわけメイ・パン自身の映像とフォトがここまで多彩なまま残っているとは。
一見ごくごくふつうの東洋娘メイ・パン。ときにはヨーコ・オノを向こうに回し(東洋の魔女ヨーコの手のひらの上で踊らされているだけという見方もあり)、ときにはシンシアに代わってジュリアンの母親役も。70年代のそうそうたるロックスターたちの前でもひるむことなく社交界(と言っても乱痴気パーティーだが)にデビュー。
レノン楽曲に気を遣うことなく、意外とも思える洋楽曲が織りこまれて各シーンを盛り上げていることもテンポの良さに貢献。物語の節目と言える場面をアニメーションで処理する昨今おなじみの手法も踏襲。ラストシーンの思いがけない演出は、単なるドキュメンタリーを超えて、感涙の思いを運んできてくれました。
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