昨日、仕事後に時間が空いたので、新所沢レッツシネパークさんにて「ウィッシュ」を観ました。
正直、全く観る気はなかったんですが・・・思ってたより面白くはありましたね。飛び抜けて出来がいいわけではありませんが。
まず、舞台となる魔法の王国の設定がなかなかすごいんですよ。
強大な魔法を持つ王様が治めるその国はどこのどんな移民も迎え入れる寛容な場所。ただし入国を希望する者は自分自身の最も大切な「願い」を差し出さねばなりません。それは本人にとっては魂に等しいものなのですが、そうしなければ住むことを許されないのです。
「願い」を差し出した者はどうなるか。
自分が本当に望んでいたものが何であったのかを忘れたまま、王国に忠誠を尽くし国のために生きることを当然と思うようになってしまうのです。「一年に一度、国民の誰か一人の願いを叶えてやる」という条件を餌にされて。
結構、不気味な設定でしょう?
こういう「ユートピアに見せかけたディストピア」の物語を今のアメリカが作ったと言うのもなかなか皮肉ではありますね。移民によって作られ歴史を紡いできた国で、見せかけの寛容さで国民を支配する王の話を作り、語ってみせるとは。
本作ではそのからくりに気づいたヒロイン、アーシャが仲間たちと共に、人々の「願い」を解放するための戦いを始めます。
驚いたのは、ここで革命という言葉が使われていること。今回観たのは吹替版なので原語では何と言ってるのかはわかりませんが、少なくともこちらでははっきりと革命と言い切ってましたね。
しかもミュージカルナンバーの中に堂々たる革命ソングまで入ってます。
いやー、ディズニー作品もなかなかやるじゃありませんか。
権力には反抗を。
圧政には革命を。
今の日本にもこういう骨太な発想を持ったエンタメ作品が必要なんじゃないですかね。
残念ながらこの作品、革命勢力を助ける「スター」という謎の存在があまりにも都合良く活躍しすぎるんで後半のサスペンスが盛り上がらず、予定調和で終わってしまうんですよね。あれがもうちょっと早い段階で退場し、人間の知恵と力だけで魔法に立ち向かい勝利する展開にすれば大きなカタルシスが得られたと思うんですが。
面白い映画を見た!大満足!という気持ちにまではなれなかったのが惜しいところですが、観て損はなかったです。
そうそう、本編前の9分間の短編、こちらは文句なしに面白かったですね。ウォルト・ディズニーの肖像が映し出された瞬間、「メリー・ポピンズ」の名曲「鳩に餌を」が流れた時は、ちょっとウルッと来ちゃいましたね。
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