mixiユーザー(id:1280689)

2021年09月15日10:30

36 view

子供はわかってあげない

 昨日は予定されてた仕事が急にキャンセルになったので、我がごヒイキ、沖田修一監督の「子供はわかってあげない」を観てきました。
 本当なら昨年の6月に公開されてたはずの作品なんですが、コロナ禍のせいで公開延期となり、今年の8月下旬にようやくの上映となったのでした。
 でもこれ、夏の終わりに観る作品としては最適なんですよ。過ぎ行く夏を惜しみながらスクリーンを見つめていると、可笑しさとともに滲み出て来る寂寥感に包まれ、何とも言えず切ない気持ちになるんですよね。

 アニメ大好きで高校の水泳部員としても頑張ってる主人公、朔田美波という女の子の、ひと夏の奇妙な冒険の物語。
 冒険と言っても、ほとんど記憶にない実の父親を探して会いに行くだけのこと。母と義父、そして弟との暮らしは和やかで楽しげで平穏そのものなんですが、ふとしたことで思い出された「実父の存在」が心にひっかかり、よし、探してみよう!と美波は決意します。
 こう書くと、とてもドラマチックな展開になりそうな感じなんですが、そこは「南極料理人」「おらおらでひとりいぐも」の沖田監督なので、ゆるーくてふわふわで、そして珍妙。
 捜索の過程で登場する人物達のユニークさ、おかしさ、そして彼らの不思議な言語感覚がクスクス笑いを誘います。
 やがて美波は、わりとあっさり所在の知れた父に、実際に会いに行くのですが・・・。
 まあ、ここからの展開は未見の方のため、控えておきましょう。

 この映画を観ていると、天涯孤独な人なんてこの世にはいないんだな、と改めて感じます。
 誰もが、他者から何かを教わり、それをまた他の誰かに教え、伝えていく。その誰かは、血縁者であるかも知れないし、そうでないかも知れない。
 でも間違いなく人は、どこかの誰かと何らかの形で繋がっていて、それは途絶えることなく続いていく。
 美波が実父との短い邂逅を通して感じたのも、きっとそのことだったんでしょうね。
 沖田監督、また忘れられない映画を作ってくれましたね。
 心から、お礼申し上げます。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年09月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

最近の日記

もっと見る