「3」で完結したはずのおもちゃたちの物語に蛇足的な続編をくっつけるんかい・・・、と、観る前は否定的な気分だったのですが、なかなかどうしてピクサーさん、またやってくれましたな。
「トイ・ストーリー4」、見事な作品でした。
このシリーズは1作目からずっと「サーチ&レスキュー」の要素を堅持した伝統的な冒険活劇であると同時に、「アイデンティティの喪失と復活」「愛されない者の悲しみと怒り」を描き続けてきました。
そして今回はそこに「人生の選択肢は、ひとつじゃない」というテーマが盛り込まれています。
カウボーイ人形のウッディとその仲間たちはずっと自分たちの持ち主である子供の傍にいて遊び相手になることが幸福であると信じてきました(時には飽きられ、捨てられてしまう悲哀も味わわねばなりませんが)。
ところがウッディは本作のラストで、ちょっと思いも寄らぬ選択をするのですよ。
もしかしたら1作目からのファンは「これはないんじゃないか?」「これまでシリーズで描いてきたことを否定するのか?」と思うかも知れませんね。
未見の方のために詳しくは申しませんが、私はあれ、アリだと思っています。
だって、世界は私達が思ってる以上に広くて、様々な可能性に満ち溢れているのですから。
どんどん内向きになり、「外からの目線」で自らの社会を見直す事を拒否しはじめた今の日本においては、あのラストはとても重要な意味を持つように思えてなりません。
もうひとつ、本作では「優しさの連鎖」についても触れています。そのことはラスト近くのあるエピソードに色濃く表われておりました。あのシーンは涙なしには観られなかったな。
久々に登場した主役級のキャラ、フォーキーが途中から普通の脇役になってしまうという脚本上の不手際も見えたりする本作ですが、私は断然、支持します。
そうそう、忘れてならないのは繰り返しギャグのアイディアの巧さ。
特に、悪役のギャビー・ギャビーが根城にしている戸棚の鍵を奪うため、これまた新登場のキャラ、ダッキー&バニーが様々なアイディアを繰り出すシーン。あのバカバカしさには大笑いしたなあ。さらにその後、実際に鍵を手に入れる件りのおかしさたるや。
あのギャグセンスには、もう、脱帽であります。
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