mixiユーザー(id:1280689)

2019年04月11日20:42

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 アダム・マッケイの「バイス」観てきました。
 
 どうあがいても日本じゃ作れないタイプの政界成り上がり劇ですな。
 例えばの話、この国の映画界で小泉純一郎と竹中平蔵を主人公にした政治コメディなんて作れますかね? まあ無理でしょう。
 それをあちらでは堂々と、しかもエンタテインメントとして成立する形でやれるってのが、もう羨ましいやら悲しいやら(もちろん製作者サイドも相当な覚悟でやってるんでしょうが)。

 この映画、圧倒的に面白いのは前半。
 ポンコツの底辺労働者だったディック・チェイニーが恋人のリン(後に妻になる)にケツを叩かれまくって一念発起、ラムズフェルド下院議員の下っ端スタッフを皮切りに、節操もなく「力」のあるところにすり寄って、最後には石油大手ハリバートン社CEOに収まってめでたし、というあれよあれよの物語なんですね。
 凄いのはこの映画、ここでいったん終わってしまうのですよ(しかも、しっかりエンドクレジットまで流れる!)。

 もちろん本筋はここからで、かつてパパ・ブッシュ大統領の閣僚を務めたこともあって息子ブッシュから副大統領就任を請われるのですが、正直、その先は情報量過多の上に進行上の仕掛けを仕込みすぎてやや失速気味。少々眠気を誘われてしまいます。
 マイケル・ムーアの手法を思わせるような趣向と「マクベス」的展開で、凡人ディック・チェイニーが「権力行使の場」において自らを変革させていくプロセスをせっかく面白く見せているのにもったいないなあ、と思いましたね。
 どう考えても頭の悪ーいダメ白人の代表としか思えない男でも、やたら優秀で上昇志向の高いパートナーと、「無口」「口が堅い」「忠誠心に篤い」という三つの要素を生かせる場を与えられたらお山の大将にだってなれちゃうぜ、という一種のピカレスク物語のままで締めくくってもよかったんじゃないかな、という気がしなくもないです。

 もっとも、本作の最大のテーマは、本物のエンドクレジットの合間に挿まれたコント(?)の中に仕込まれているのですけどね。
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