ブルークリスマス

　ああ、今年も観てしもうた。

　岡本喜八監督、倉本聰脚本による、最凶のクリスマス映画「ブルークリスマス」。
　UFOを目撃したために血液が青色に変じてしまった人たちの世界的増加におののいた各国政府が結託して「青い血の人間は敵だ」という民衆洗脳工作を進め、ある年のクリスマス・イヴの夜、全世界で一斉に青い血の人間の大虐殺が始まるという、恐るべき近未来SFであります。

　公開当時は、なんと突拍子もない話だろう、と思っていましたが、時代が進むにつれ、本作で描かれた事態が次々に現実化していることに驚愕を禁じ得ません。
　今年も世界中で憎悪と非寛容の渦が巻き起こりました。ヨーロッパ各地で台頭する極右勢力、アメリカやフィリピンにおける「強力（に見える）リーダー」の誕生。そして日本では沖縄に対する本土人の暴虐ぶりや障害者施設での大量殺傷事件が記憶に新しいところ。

　（自分から見て）異質なもの、気に入らないものは全て排除して、自分たちにのみ気持ちのいい環境を作り出そうとする「病的なまでに想像力を欠いたエゴイスト」が今以上に幅を利かせるようになれば、「ブルークリスマス」が描いたカタストロフを招来させることは間違いないでしょう。それも、そう遠くない将来。
　今日はクリスマス。少しでも明るい、そしてまともな未来を作り出すため、自分にできることを考えねば、と思います。