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日記一覧

 @京都芸術文化センター。アゴタ・クリストフ原作による、第二次大戦下ポーランドで、過酷な環境に過度に適応しきった二人の双子の、ピカレスク/ハードボイルド的物語を、5人の俳優によって演じる。舞台道具は5台のベンチのみで、それを劇の進行とともに

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 個人的にはアンソロジストとして親しみ深い井上雅彦が、ファンタジア文庫黎明期に著した逸品。ドラゴンマガジンで発表した3つの短編をまとめたものだが、それだけではファンタジー・SF・伝奇時代劇を取りそろえたバラエティ豊かな短編集に留まるところを、

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 前作「阿片常用者の告白」と比べても、薬物由来の幻覚よりもなお壮大なビジョンを展開しており、ド・クインシーの見者としての面目躍如の感がある。幼き日の姉の死をきっかけに、死と夏の日差しを結びつけた感覚は、退廃よりもむしろ清新でさえある。「重ね

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 岩波文庫版。前半の自伝的要素も、19世紀初頭のロンドンの風物をペダントリに彩られた文章で活写して興味を惹くものだが、やはり圧巻なのは、後半の阿片による幻覚の描写である。ほとんどコズミックホラーの域に達するような途方もないヴィジョンを、詩人

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 倉田翠演出・主演。分類すれば一応はダンス公演になるのかもしれないが、一時間強の公演中、倉田によるダンスが演じられるは正味5分にも満たないのではないか。公演のほとんどを占めるのは、舞台後景のスクリーンに映し出された東九条の老人ホームやお店、

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 1〜3巻の幕間的エピソードを拾った短編集。冒険者たちのオフタイムや、冒険者を支える名もない一般人を主役に添えたエピソードでここまで読ませるのは、生活感と無常観が売りのこのシリーズならでは。賽の目一つで喪われると散々描写されてきただけに、た

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 共産主義に敗北して失脚したヒトラーは、ロンドンで私立探偵に身をやつしていた…という大胆な構想の改変歴史ミステリ。流れ着いた先のロンドンでは移民排斥運動が巻き起こり、自らの劣化コピーのような衆愚政治家の台頭を目の当たりにするばかりか、今度は

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