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日記一覧

作者名を伏せて読んだならば、本書はブラッドベリ、エイクマン、ゼラズニイ、ティプトリー、スタージョンら錚々たる作家陣による傑作SF/ホラー/「奇妙な味」アンソロジー、として通用してしまいそうだ。作者解説でもしばしば「元ネタ」を楽屋落ち的にバラし

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 タイトルは「Himmlers Hirn hiesst Heydrich ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる」の意で、ヒムラーの右腕として恐れられたナチ高官ラインハルト・ハイドリヒの暗殺を主題とした歴史小説である。ナチ占領下のプラハ、という重苦しい背景ながら、本書

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 まずもって欠片もSFではないし(野暮は百も承知だけど早川から出してる以上言わないわけにもいかないのSF者の哀しい習性)、短歌で異能を発現させて試合する、という設定も、物理的に効果があるわけでなく、普通に古式に則った歌合せで良くない?歌の良し悪

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ドーキー・アーカイヴその6。怪奇小説としては道具立てはそれこそ、異教の宝石や幽霊、分身などオーソドックスなものだが、怪異の顕現よりも、それに襲われる側の困惑と慄き、不吉な予感の描写にすぐれ、恐ろしい、というより悍ましい感触を残す。息子に取り

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 異世界転生にレベルアップ制度と、定番の要素を押さえながらも、幾多の異種族が神々の加護を奪いあって闘争する、独自のファンタジー世界をしっかり構築しているのが好印象。主人公の属する共同体が、そうした過酷で野蛮な世界における有り様として、説得力

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 ワトソン博士によるホームズ探偵譚、の向こうを張る、副官モラン大佐によるモリアーティ教授物語…という体裁で、古今のビクトリア・ピカレスクを無節操・無尽蔵にクロスオーバーさせたとんでもない連作短編集。これを十全に楽しむには、哀しいかな読者側の

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 吹田市民劇場。劇団「清流劇場」では堂々たる女王を演じることの多い女優だが、今回は人情味溢れる時代小説の一人語りで、文武に秀でながらもなかなか仕官が叶わない不器用な侍を好演し、芸域の広さを魅せていただいた。雨に降り籠められた木賃宿とそこに集

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