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2019年02月08日23:19

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黒き微睡みの囚人/ラヴィ・ティドハー

 共産主義に敗北して失脚したヒトラーは、ロンドンで私立探偵に身をやつしていた…という大胆な構想の改変歴史ミステリ。流れ着いた先のロンドンでは移民排斥運動が巻き起こり、自らの劣化コピーのような衆愚政治家の台頭を目の当たりにするばかりか、今度は自分たち亡命ドイツ人たちもユダヤ人と一絡げに排斥される立場に陥る、というのが、皮肉が効きすぎている。昨今の現実の政治情勢も鑑みれば、なおのこと。アメリカ映画業界とよろしくやって「カサブランカ」に相当する作品を作ろうとしているレニ・リーフェンシュタールとの再会など、キム・ニューマンの「ドラキュラ紀元」的改変歴史ものならではお楽しみ要素も満載だが、構想の奇抜さはプロットの平板さ(あえて、という部分もあるにせよ)を完全にカバーできてはいない。
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