mixiユーザー(id:4550802)
日記一覧
- マーシェンカ／V.ナボコフ
- 2015年02月27日20:21
ナボコフの処女作(の作者本人による英訳版)。初恋の思い出、という主題から通例連想される甘酸っぱさとは程遠く、むしろ漂うのは目の前の現実を遮断し、強烈な官能に彩られた記憶の中に逃避する、退廃の饐えた匂いだ。止まったエレベーターの中、かつての思
- 完璧な夏の日/ラヴィ・ティドハ―
- 2015年02月23日23:49
いうなれば、ル・カレ×ウォッチメン。スーパーヒーローたちが、第二次世界大戦、ベトナム戦争、アイヒマン裁判、アフガン戦争を駆け巡る…がアフガン戦争時にビンラディンに出会っておきながらも、結局９．１１は止められない、という。(実際、ヒーローの
- 翼を持つ少女 BISビブリオバトル部／山本弘
- 2015年02月22日21:17
書評合戦(あるいはお勧め本対決？)というユニークな文化系活動を描く。そしてヒロインは筋金入りのSF者なので、当然ながらかなり濃い、かつ良質なSFブックガイドにもなっていて、その筋の人にはたまらない。・・・というか８割は既読なのにこうして紹介され
- ステーション・イレブン/エミリー・セントジョン・マンデル
- 2015年02月20日22:34
パンデミック「グルジア風邪によって、人類の９９％が死滅してしまう。その文明崩壊以前と崩壊２０年後を交互に描き、シェイクスピア劇と一冊の絵本でそれらを架橋する。その構成は技巧的であり、喚起されるイメージも美しいが、個人的には文学とSFとの二股
- 鮮血のエルフ／藤原祐
- 2015年02月18日13:34
人間を魔物に代え、植えつけた種子で人の住めない魔の森「妖精郷」を広げていく、という情け無用の極悪エルフ族と戦う、ダークファンタジー。屍累々の情け容赦ない展開に、昨今のラノベに珍しい外連味のないキャラと文章でこれだけ読ませる、作者の確かな力
- スタープレイヤー／恒川光太郎
- 2015年02月17日00:15
無職３４歳がウィッシュ１０回特権を与えられて異世界に放り込まれるお話。一度にまとめればかなり大規模な願い(家に加えて倉庫いっぱいの食糧、とか)がかなえられたり、死者を蘇生させたりと「なんでも願いが叶う」一方で、謎の超常存在の審議を経なければ
- エルフの血脈／アンドレイ・サプコフスキ
- 2015年02月16日20:27
ボードゲーム化されて人気、ということで手に取ってみたポーランド産ファンタジー、〈魔法剣士ゲラルト〉、あるいはThe Witcherシリーズの第一巻。亡国の姫を守る孤高の魔法剣士に、エルフやドワーフ、ハーフリングといった諸種族、と道具立ては古典的だが、
- 少年検閲官／北山猛邦
- 2015年02月12日23:13
禁書が徹底され、ほとんどの人が「ミステリ」という言葉さえ忘れてしまった特異な世界を舞台としたミステリ。かなり無茶なトリックを、同じくらい無茶な世界観で押し通す、すごい力技。純粋ミステリとしてよりは、この世界観自体と、表題の少年検閲官と主人公
- 境界線上のホライゾン�次�上／川上稔
- 2015年02月10日23:10
いよいよ折り返し(まだ！？)という感溢れる先生との模擬戦メインな、第８巻の上。開始直後は、これだけ実戦経てきて同じようにあしらわれたらどうしよう、と思ったけどさすがにインチキ援軍もありで、ちゃんと勝負になってた！冷静に考えるとそれでもおかし
- Ａ Night in the Lonesome October/Roger Zelazny
- 2015年02月09日22:56
ゼラズニイ最後の作品。切り裂きジャックが、ドラキュラが、人狼や魔女とともに魔術的な儀式かつゲームを一か月かけて執り行う、というFate/staynightを１０年先取りしたハチャメチャかつ洒脱な作り。最後までゼラズニイ節は貫かれていた・・・！おまけにクト
- バネ足ジャックと時空の罠／マーク・ホダー
- 2015年02月02日23:49
リチャード・バートンを主人公に据えた改変歴史もの・・・というとファーマー『リヴァー・ワールド』やパワーズ『アヌビスの門』が想起されるけど、それらと比べると一枚も二枚も落ちる、というのが正直なところ。ダサすぎる邦題にネタバレされるまでもなく
