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日記一覧

 文明崩壊後、人々は地底都市でビクトリア朝的な階級社会を営んでいたが、禁忌知識を巡る殺人が起きて…という設定には惹かれるものがあったが、あまり物語の中で有効に機能していないのは残念に過ぎる。地底都市ならではの生態とか風習とか、あるべきなので

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 国書刊行会、スタニスワフ・レム・コレクション6。・主の変容病院レムのデビュー作である長編。ナチス占領下ポーランドの精神病院を舞台とした、レム版「魔の山」ともいうべき一般小説だが、作中重要な役割を果たす患者/詩人の言動には、後のレムが著すSF

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 傑作揃いの『ヴィジョンズ』及び『AIと人類は共存できるか?』収録作は除外されているせいで、ちょっとタイトルとは外れてしまっている日本年間SF傑作選、2016年度版。それも大森望が良いアンソロ編みすぎなせいなので全然悪くないし、WEB上や同人誌をはじ

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 バルガス=リョサ「楽園の道」経由で、ゴーギャンの祖母によるペルー一人旅日記を読む。「ある女賤民(パリア)の旅行記」という原題からして、彼女の激しさが分かる。だが社会に対する、男性に対する、宗教に対する、この世のあらゆる理不尽に対する怒りに満

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 100人単位の二つの異世界(ゲーム世界)に集団転移して、個々の探索者の冒険とは別にもっと大きな競技が行われてるらしい、とか、スキル強奪とか転移者同士はステータス秘匿されてて信用できない、とか色々面白く転がりそうな要素だけ振っておいてなにもか

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クリーピー/前川裕
2017年07月21日22:20

 黒沢清の映画版経由で読んだが、後半はまったく違う方向へストーリーが展開していく。この前半部分だけ素材として接収して、あとは『CURE』以来の自分の世界を展開してしまっている黒沢監督はなかなかの面の皮の厚さだと思う。ミステリとしての話運びとして

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 痛みに反応して魔力を発する少女を拷問して、新型の魔力炉とする実験に参加するマフィアの拷問官が主人公・・・というガガガ文庫意外ではなかなか出せそうもない暗黒ラノベ(?)である。どぎつい拷問シーンは描かれつつも、肝心の少女への拷問はなかなか始ま

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河出文庫版。画家ポール・ゴーギャンとその祖母にして革命家フローラ・トリスタンのそれぞれの「楽園」探究に明け暮れた人生を交互に語っていく、伝記小説。芸術と南洋幻想に堕ちていくポールと、女性と労働者の融和を目指し戦い続けるフローラ。ポールが常に

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 6割読み進めるまでノンフィクションだと信じ切っていたことをあらかじめ告白しておきます。帯に思いっきり「メタフィクション」って書いてあるのに…。「さすが科学と理性に基づくユートピアたらんとするソ連邦、SF文学がこんなに影響力持っていたとは…

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 火星近傍の小惑星から4万年前に死んだ人類の化石が発見される!米軍に秘匿された化石を奪うべく、一流のハッカーを始めとする個性豊かな面々が集められ―「3億キロの密室」だの「五千四百万キロのアリバイ」だの生命誕生の秘密にシンギュラリティまで、大

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ビルの3階をぶち抜いた狭苦しいスペースに座布団、パイプ椅子合わせて50人ほどの観客が詰め込まれ開演を待っていると、暗い舞台(といっても観客席と同じ高さだが)にほのかな赤いライトに照らされ、上半身裸、下は黒タイツといったいでたちの男が闇の奥からゆ

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スモッグのような揃いの衣装を着た役者たちが目をつぶり、よろめきながら入場してくる。先頭の男が手に提げた子玉のスイカが妙に目を惹く。横一列に並んで、どもるように、しかしやがて朗々と輪唱、コーラスめいて読み(詠み)あげられる大日本帝国憲法、その憲

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 外伝も既に3巻、今回は本編の間を埋める半過去ボーナストラック。ガールズトークといいつつ、金地院崇伝=ウルバヌス8世との武家諸法度を巡るディベートで1巻費やす、ついでにメアリがさんざんのろけるという固いんだか軟派なんだか全然分からん!いつも

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 国書刊行会「ジャック・ヴァンス・トレジャリー」3巻目。表題作の長編は、いわゆるスペオペではなく、ホントに宇宙人にオペラを見せにいく珍道中、という人を喰ったお話。そして出くわす宇宙人がまた、一種族余さずクセモノ揃いのゲテモノ揃いで、文化交流

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