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2019年02月17日00:09

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[観劇]はじめまして、こんにちは、今私は誰ですか?

 倉田翠演出・主演。分類すれば一応はダンス公演になるのかもしれないが、一時間強の公演中、倉田によるダンスが演じられるは正味5分にも満たないのではないか。公演のほとんどを占めるのは、舞台後景のスクリーンに映し出された東九条の老人ホームやお店、教会での交流であり、また京都市市役所係長とその娘さんたち、車椅子の老爺、在日韓国人の女の子、そして謎のお兄ちゃん…などなど多彩な人々と倉田の間で交わされる会話、である。一般人(特に子供や老人を)を舞台に上げて、ダンスらしいダンスはほんのわずか、これで3000円の入場料を取る「公演」に成りうるのか、というと…なんと、ちゃんと成り立ってしまっているのだ。それは、一般人と言うのは彼ら彼女らがあまりに個性的、印象深いキャラクターとして紹介されるからでもあるだろう。特に最後の謎のお兄ちゃんは、他の人と違ってわかりやすい属性で説明もされないのでほんと謎の人で、面白すぎると思う。フライヤーもピンで飾ってるし…自転車乗り回して、一種進行役を務めるのが様になり過ぎていて、何者なのこの人と思わされること、一度ならず。また、演者たちの対話は基本的に客席に対し直角に、向かいあって行われ、観客/演者の関係を固定化させない。ダンスを横で見ている老人を見ている我々観客、というこの不思議な立ち位置の面白さ。ダンスに費やされる時間も相まって、ここには「一般人」や「地域」をダンスの一素材として組み込むといった芸術家的傲慢さは欠片もなく、洗練された芸術とはほど遠くとも、確かに共同的なクリエイションが現前していたと思える。
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