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日記一覧

 澁澤龍彦・高橋たか子訳。窓の外で騒ぐ白痴を尻目に、「私」は洗礼簿を捲り、その上を這うカミキリムシの姿から、ある一人の男を幻想する。「好色漢」と形容されたその男のイタリア行は、しかしエロスから夢幻の連鎖を経て、やがてタナトスの領域へと降下し

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 没後10年になる脚本家・大竹野正典の演劇人生と死を描く。併催でもある遺作「山の声」を作中作として効果的に使っていて、「山の声」を彷彿とさせる状況での大竹野と妻の対話から開幕し、「山の声」の脚本を仕上げ、二人で読み交わす場面で幕を閉じる。

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 「FGOミステリー」として「虚月館殺人事件」の姉妹編にあたるが、英霊のガワだけ使ってトリック一点突破を図った前作とはまったく違った手法でアプローチしているのが、スゴすぎる。いろいろとキャラの濃い英霊たちが、我こそ主人公たらんと(あるいは自分

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 「FGOミステリー」として「虚月館殺人事件」の姉妹編にあたるが、英霊のガワだけ使ってトリック一点突破を図った前作とはまったく違った手法でアプローチしているのが、スゴすぎる。いろいろとキャラの濃い英霊たちが、我こそ主人公たらんと(あるいは自分

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 FGO×本格ミステリイベント。昨年の本編イベント開催時には、FGOならではのトリックに大いに唸らされたものだが、このノベライズでは更にもう一ひねりギミックが加わっていて素晴らしい。イラストの威力を最大限に利用しているのもイイ。ちょっと例のないほ

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 「隣り合わせの灰と青春」以来の由緒正しきWIZパロ小説。いや、主人公の名前が「あ」で債務抱えた奴隷でLV1魔法使いスタート、という過酷っぷりは、どちらかというと「灰と幻想のグリムガル」…?迷宮探査の過酷さよりも社会的な辛さがともすればたち勝り

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 8・9・10の上中下巻構成。時計塔地下の超・巨大ダンジョンにして太古の巨竜の遺骸、というそれだけでスピンオフ1シリーズ捻りだせそうな美味しい大舞台を用意して、シリーズ第1巻のゲストキャラクター総揃えのダンジョンアタック大立ち回り!一方では

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忍びの卍/山田風太郎
2019年05月17日23:56

 500頁の長編だが、予想外に出演する忍者は少人数で、実質3人が秘術を尽くして争う三つ巴。それだけに濃密なプロット、裏切りあり騙し合いありの敵味方が激しく交錯する調略戦が息をもつかせない。超常的な忍者のコンビ技で以外な効果を発揮する、能力バ

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 安定の酒井昭伸訳、という点を差し引いてもあまりにも圧倒的な筆力。陰影深き登場人物たちの相貌、背筋の凍るような緊迫感の描写に支えられ、SF、ミステリ、ホラーが極めて高いレベルで結合しているのが、表題作「ナイトフライヤー」である。爆散した屍肉が

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