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日記一覧

話すほどでは(その2)
2016年11月30日08:22

 風俗取材先の女の子に何を思われてもかまわなかった。どうせ筆者がモテるはずもないのだから、風俗店のママならともかく、取材対象の女の子とは短い付き合いにしかならないからだ。 ゆえに、その時にも、女王様取材の相手が私にМでしょう、と、言うので、

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文章実験室十二月課題
2016年11月29日01:18

 間違って東名高速を降りてしまった後、しばらく、カーナビを頼りに本線に復帰しようとしていたのだが、カーナビに従って走っていると、車は山の中にと入って行くことになった。高速道路の降り口から同じ方向の乗り口に復帰するのルートは複雑なことがある。

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話すほどでは(その1)
2016年11月28日02:42

 さて、編集者とは何か、と、そんな話を二つの方向から書いてみた。なかなか良い話になったと自画自賛したい。まだまだ書きたいことはあるのだが、何しろ、こうした企画には頃合いというものが大事なので、このあたりで話を切り替えたい。 次は、これはエッ

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 女性編集長の下で仕事をしたことは二度しかない。彼女はホラーコミッコ雑誌の編集長だった。徹夜が続くと「むしゃくしゃする。ねえ。セックスでもしようか。三日間シャワー浴びてないけど、舐めてくれる」と、言ったりした。筆者が「Мだったら喜ぶところな

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 まだ二十代前半だった筆者に対し、その女は五十歳を越えていたと思う。そして、その時の編集長は四十代前半だった。編集長の女と言うよりは、編集長のスポンサーのような女だったのだ。 その女とセックスするのは女が宿泊しているシティホテルの高層階の部

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「私がダーリン以外の男に熱中してしまうことがないかって聞きたいの」 その女とのセックスは数回に及んだ。その時の編集長はチャンスがあれば筆者と彼女をセックスさせたがったのだ。三人で温泉に旅行したことがあった。その時には、彼を含めた三人でセック

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 不思議な感覚だった。その頃には、筆者は他人の女を抱かされるということに慣れて来ていた。もともとがエロ本屋なのである。他人の前で性的行為をするのは平気なのだ。しかし、その日は何故か落ち着かなかったのだ。 筆者よりも三十歳は上かと思われた編集

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「あなた変態でしょう」 ねっとりとしたセックスをする女だった。変態雑誌の編集長の女で、一緒に暮らしていたが結婚していたかどうかまでは知らない。しかし、その変態雑誌に編集者として呼ばれていたのだ。その筆者に、何という問いをする女だろう、と、筆

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 行為の後、彼女は全裸のままコーヒーを淹れていた。その後ろ姿が何とも美しいのだ。妖艶な色香を纏った背中。くびれた腰にほんのりとついた肉。そして、生意気な女が顎を突き出したときの表情を連想させるお尻。豊かなお尻に反比例するか弱い太もも。「私が

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 マックのハンバーガーの五つ目の最後の欠片を口に押入れて前を見ると、大物の女優と言われても信じてしまいそうなほどの美人がこちらを見て笑っていた。マックのハンバーガーを五つ食べることは当時の筆者にとっては、そう苦ではなかった。しかし、彼女は、

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 面白いセックスをする女だった。明らかに筆者が主導権を握り、女を自由にしていると感じさせておきながら、実際には、何もかもが女の思うがままに動かされているのだ。たとえば、胸ばかりに唇を這わせていると女が自分から動いて肩や首筋に筆者の唇を持って

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書き方、課題小説
2016年11月17日01:26

 団地の共用駐輪場から駆け出そうとする幼い頃の私を引き留める声がありました。振り返ると、幼稚園児ぐらいの男女が笑って私を見つめていました。私も彼らと同じぐらいの年齢でした。「鬼も決めずに、どこに行くつもりなの」 一人の女の子が言いました。私

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「あなた、聞かないのね。あの人に言われて私を抱く男はたいてい聞くものなのよ。どっちがよかったかってね。自分でも満足させられたかってね。言われたいのよ。あの人よりよかったってね」 セックス経験の乏しい筆者には、それを尋ねる意味などなかった。「

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 その編集長の女はモデルだった。当たり前だがアダルト専門のモデルである。自分の雑誌の予算が少ないときには彼は、その女をモデルとして無料で使っていた。そのときもそうだった。撮影は筆者に任された。企画はSМだったが、その女はセックスも求めて来た

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「バカな子ね。女は男のモノなんて比べてないのよ。女がそんなことをしているっていうのは、エロ本が作った神話でしかないのよ」 ある編集長の自宅だった。二階建てのアパート、決して優雅ではないが、しかし、貧乏育ちで、まだ、若かった筆者には、それでも

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 もう一人の編集長という企画をやろうかと思う。この企画はエロ雑誌に関わっていればこその企画なのではないかと筆者は考えている。いや、音楽雑誌でも似たようなことはあったのだが、やはりエロ雑誌がすごかった。 つまり、編集長と言われる男の彼女、愛人

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 新宿三丁目の会社がなくなって一年と少しが過ぎた頃だった。筆者は再び、同じ街にある弱小出版社で仕事をすることになった。エロ本ではなかった。エロ本ではないが、筆者の心ははずんでいた。おかしなものである。そこには、もう、あの編集長もいないし、彼

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 賑やかな新宿の街を外れ、暗い道を行くと大きいが寂れた雰囲気のある公園があった。その先には新宿二丁目がある。同性愛者の聖地のように言われた街だ。 筆者がその公園を訪れたのは一週間ぶりになっていた。それまでは三日に一度は訪れていたのだが、それ

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あの時編集長は(10)
2016年11月10日03:48

 公園の入り口に痴話ゲンカするカップルがいた。痴話ゲンカしているのは男と男だが、明らかに一方は女性的な話し方をしている。コメディー映画にありそうなシーンだ。筆者には現実感がない。それを横目にいつものベンチに向かうと、すでにそこに座るものがあ

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編集長も筆者も大酒飲みだった。しかし、会社の飲み会のようなものがないかぎり、一緒に飲みに行くということをしなかった。プライベートな話は、たいてい、会社の近所にあった同性愛者の集まる新宿の公園でしていた。「会社の仲間で飲み行くやつらってのが

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 新宿にある同性愛者たちの集まる公園。その公園はいつも人は多いのに静寂に包まれていた。その静寂を切り裂いたのは筆者と編集長だった。二人は掴み合いになった。編集長は筆者よりも頭一つぐらい大きかった。身体も逞しい。胸倉を掴んではじめて、その男が

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 十二月の寒い深夜でも、その公園から人がいなくなることはなかった。コートやジャンバーに包まれながら、凍えるようにして、男たちは立っていた。ときどき、立っている男に別の男が近寄ることがあるのだが、たいていは一言二言交わして離れて行った。楽しそ

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 悩んでいた。その出版社の社長は、読者はお客さまなんだから、その投稿はリライトしたりせずに、そのまま掲載しろと言うのだった。しかし、筆者には、それは納得出来なかった。雑誌には、雑誌の色があり、格式があり、主張があるのだ。しかし、それに従えな

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 筆者が女のエロについて、あれこれと考えるところの、その公園には女がいない。もしかしたら児童公園なのかもしれないのに、子供も母親らしい女の姿も見たことがなかった。カップルの姿は見かけるが、隣合うカップルはどちらも男だった。 筆者の借金は、驚

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 あの頃、バブルははじまっていたのだろうか。多額の借金を抱えていた筆者には、その恩恵は少なくともなかった。途方に暮れたように、筆者は、その公園で佇んでいた。世の中は、もしかしたらバブルの予感に浮かれていたのかもしれないが、筆者と、そして、そ

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文章実験室課題小説
2016年11月01日01:56

 釣り竿をどうしたろうと思いながら、川原にあった少し平らな石の上に腰を降ろした。最近は、めっきり足腰が弱くなり、少し歩くと座りたくなるのだ。少し前にはそんなことはなかった。いくら歩いても疲れなど知らなかった。 釣り竿のこともそうだ。いつの頃

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