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2014年05月19日20:00

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ベーグル36 - 高級な材料は使うものだ 【追記有り】

知り合いの偉い人に差し上げる為、自家製スモークチキンとチーズのベーグルサンドを作るべく、先ずはベーグルの試作をしてみた。

と言っても、何も特別な事をするのではなく、材料を吟味しただけ。

すなわち、普段は使わない高級な材料を使った。

いつもは地元の業務用食品の卸業者の企業ブランドの安物の小麦粉を使っているが、今回は日清製粉の高級強力粉、『スーパーカメリヤ』を使った。

これは、強力粉の中では最高級の部類で、日清製粉の強力粉で、これより高価な物と言えば、『スーパーキング』と呼ばれる物があるだけである。

ただし、スーパーキングには増粘剤が添加されており、ある意味では自然とは言えない。

何も手を加えていない日清製粉の強力粉で、最高級は『スーパーカメリヤ』である。

スーパーカメリヤには、いつもの安物の粉よりも多くのグルテン質が含まれている。

グルテン質が多く含まれれば、焼き上がりがもっちり、ふっくらした、味の良い物になる。

しかし、グルテン質が多く含まれれば、その分、吸水率も違うし、感触も違う。

生地に弾力が出るので成形し難いし、焼き色が付き易いので、焼け具合と焼き色の関係、すなわち、焼き時間と温度の関係も違ってくるし、調整も難しい。

私もベーカリーで働いていて、各メーカーから出ている小麦粉で、スーパーカメリヤと同等の粉を使ったのは、特別注文があった場合の数回しかなく、いつもはこれより二段か三段下の等級の粉を使っていた。

そうしないと原価が上がってしまって、割に合わなくなるのだ。

今、普段使っている粉は、更に下の等級である。

更に、今使っている油脂は、普通のバターか、ちょっと良いマーガリンであるが、今回は発酵バターを使った。

これは、普通のバターにヨーグルトのような風味が加わった物で、欧州ではこれが普通のバターだそうだが、日本では流通量が少なく、価格も高い。

さて、これらの高級な材料を使ったベーグルだが、試作してみて、やはり、高級な材料は使うものだと思った。

スーパーカメリヤの使い辛さはさておき、結果が違った。

先ず、味が違う。

バターの風味が焼き上げた翌日も残っており、味も良い。

次に、いつもの粉だと焼き上げた翌日には表面のサクサク感なくなり、しなしなとしてしまうし、味も落ち、劣化が著しいが、スーパーカメリヤと発酵バターの組み合わせだと、表面のサクサク感が若干落ちるものの、いつものように劣化せず、美味しいままである。

やはり、良い材料は使うものだと思った。

何といっても結果が違う。

このような材料をいつも使いたいものだ。

値段が倍以上しないのであれば。

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【ベーグル36】 中種法による作成

材料

中種

・強力粉 200g
・ドライイースト 5g
・水 200g


本種

・強力粉 250g
・脱脂粉乳 25g
・上白糖 6g
・食塩 6g
・モルトパウダー 6g
・アスコルビン酸(ビタミンC) 1g
・発酵バター 25g
・水 50g

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※成形している部分の画像は、以前の作成時に撮影した画像からの流用です。

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高級強力粉『スーパーカメリヤ』

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発酵バター。
今は乳製品が品不足だそうで、近辺の商店では、軒並み売り切れか、購入できる個数に制限がかけられていました。

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中種の材料、強力粉200g、ドライイースト5g、水200g

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混ざりを良くするため、粉とイーストをかき混ぜ、

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水を加え、

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軽くかき混ぜる。
こねるのではなく、ただ軽く混ぜるだけ。

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常温で八時間、冬場ならばまる一日寝かせて発酵させる。
これで中種の完成。
生地は泡立っており、発酵により、アルコール臭と酸っぱい匂いがする。
こうする事によって、生地の熟成を進めるわけです。
砂糖以外の材料を全て加えて中種を作る方法もあります。

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本種の粉類。

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これも混ざりを良くするためにかき混ぜる。

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発酵バターと、

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水。

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全ての材料を合わせ、

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軽くこね、

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粉っぽさが無くなったら、

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台の上に取って、本格的にこねる。
体重をかけて、グッと押し出すように。
これを200回から300回繰り返す。
最初はべたべてしていた生地も、最後には手にくっつかなくなる。

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生地の完成、第一段階。

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粉を振った容器に入れ、ラップをかけ、常温で四時間程度発酵させる。
発酵が住むと、生地の大きさは二倍から三倍程度に膨らんでいる。

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これはちょっと過発酵。
でも、この段階ならば、まだ大丈夫。

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生地を叩いてガス抜きをし、丸める。
こうする事によって、暴走気味になっているイーストの発酵を調整するわけです。
これを「パンチ」と言います。

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通常のパン生地の作成方法では、ここで15分から30分程度生地を寝かせるか、ここで生地を分割して寝かせ、成形、発酵、焼成と作業を進めます。
この段階の作業を「ベンチ」、又は「ベンチタイム」と言います。
が、伝統的なベーグルの生地の作り方では、ここで冷蔵庫の中で、八時間以上寝かせます。

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今回はスケジュールの都合で、半日以上寝かせました。
丸一日程度なら寝かせても大丈夫ですが、あまり長い時間冷たい場所で寝かせるとイーストの発酵力が落ちるので、やむを得ずそうする場合は、あらかじめイーストを多めに入れるか、冷蔵・冷凍対応の添加剤を入れます。

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冷蔵庫内での発酵終了。
何故冷蔵庫で寝かせるのかと言えば、生地の熟成をゆっくりと時間をかけて進め、そうする事によって熟成度が増し、また、成形し易くなります。

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生地をたたいてガス抜きをし、平らに伸ばし、任意の大きさに切り分けます。
この段階で、成形の仕方が二つに分かれます。

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切り分けた生地を直接転がし、長く伸ばし、

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手に巻き付け、

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ブチッとちぎり、

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切れ目を下にして数回転がして切れ目を合わせ、

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完成。

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次の方法。
この方が慣れていないうちはやり易いですが、時間がかかります。
帯状の生地を任意の大きさに切り分け、

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引っ張りながら生地を抑え、

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延ばします。

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これを三つ折りにします。

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こんな感じ。
この成形方法は、フランスパンの成形方法と、基本的には共通です。

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これを棒状に延ばし、

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手に巻き付けて、

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切れ目を下にして、数回転がして、切れ目を接合し、

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完成。
慣れないうちは、この成形方法の方が綺麗に仕上がります。

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今回はリング状の成形方法の他に、結び目状の成形方法も試しました。

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伝統的なニューヨークベーグルでは、ケシの実などを生地にy透けて焼きjますが、ケシの実は比較的高価ですから、私は胡麻の実を使います。
私は白胡麻の方が見栄えが良いと思うので、白胡麻の実を好んで使います。
また、通常のベーグルの作り方では、「ケトリング」と言って、時期を焼く前に茹で、その後に何らかの種子を付着させますが、私は作業効率の観点から、ケトリングを行わないので、生地を水に漬けてから胡麻の実を付けます。

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その後、暖かい場所で、生地の表面の水分が失われないよう、湿度を保ちながら、大きさが二倍程度になるまで発酵させます。
向かって右側と左側では胡麻の実の色が違うのは、胡麻に実の殻を剥いた、高級な白胡麻が無くなったので、実の殻がそのままの、普通の白胡麻を使ったからです。

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ちょっと発酵オーバー。
この段階で発酵がオーバーしてしまうと、あとは修正出来なくなるので注意が必要です。
パンを作る一連の作業の中で、最も神経を使います。
その時の気温や生地の状態によって、発酵時間に差が出ます。
発酵オーバーの生地で焼くと、ダレてしまって、締まりのない、パサパサのパンになってしまいます。
ケトリングを行う場合は、ここまで発酵させず、手で持っても形があまり崩れない程度の発酵段階で茹でます。

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私の方法ではケトリングを行わず、焼く前にスチームをかけます。
これはフランスパンを焼くのと同じ方法ですが、ベーグルの作成方法の中では一般的ではありません。
ベーグルを作る素人の中には、この方法を知らない人も居ます。

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スチームをかけた後、200℃前後の温度で35分前後焼きます。
我が家のオーブンは古いですが高性能で、一連の作業を自動的に行ってくれるので、「フランスパン」ボタンをピッ、「弱」ボタンをピッ、「実行」ボタンをピッで、スチームから焼成までやってくれます。
何故フランスパンモードでやるのかと言えば、焼き方がフランスパンと同じだからであり、何故「弱」でやるのかと言えば、ベーグルはフランスパンと違って生地の量が少なく、全く同じ焼き方をすれば焦げてしまうからです。
焼き色を見ながら、場合によっては、自動的に設定される焼き時間よりも、早めに終わらせる場合もあります。

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焼き上がった直後、私はオリーブオイルを薄っすらと塗ります。
風味の向上と、照りを良くするためです。

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やはり、可能な限り良い材料を使うものだと思いました。
完成度が段違いに良くなりますから。

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【作っている時の動画】

ベーグルの生地をこねる



ベーグルの成形 その1



ベーグルの成形 その2



焼き上がったベーグルを切った時の音


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