☆洋ちゃんの読観聴 No. 1665
阿津川辰海 「午後のチャイムが鳴るまでは」
ミステリーの多くは殺人事件を扱っている。
犯人のトリックやアリバイ、動機などを辣腕の
刑事や名探偵が解明していく。また、ハードボイルドや
冒険小説においても、殺人や殺戮シーンが出て
くる。
しかし、少数ながら中には殺人事件が発生しない
ミステリーもある。日本の作家で言えば、北村薫や
若竹七海の作品がそうだ。
阿津川辰海は、これまで館シリーズなどで殺人
事件の作品を著してきた。ところが、本作品に
おいては殺人は一切ない。それどころか、警察
沙汰になるような事件もない。だが、謎解きの
本格ミステリーであることには変わらない。
しかも中学校で起こる事件で、生徒が行う
さまざまな行為が面白く楽しく、他愛がない。
５編が収められている。➀は二人の生徒が
校則で禁じられている学校の外へ抜け出し
ラーメン屋に行く話。�△任亙顕什廚鮃気┐�
文芸部では作品集の印刷の準備をしているが、
イラスト担当の生徒が締め切りが迫っても
作品を提出しない話。
��は男子生徒らが昼休みにトランプの代わりに
消しゴムを使って興ずるポーカーの話。勝者は
皆のマドンナの女の子に告白できる権利が与え
られる。�い任論雲蠅ど瑤妨修譴臣砲瞭罎�
言葉の意味を探る。そして�イ任蓮�17年前に
起こった女子生徒の失踪事件の謎を、当時
生徒で今は教師である先生が解明しようとする。
全体を通して見事な推理を見せるのが生徒会長だ。
また、生徒以外で存在感を見せるのが主に�イ�
登場する生徒指導担当の教師である。
冒頭で紹介したように、本作品はミステリーで
あり青春小説である。馬鹿々々しい中学生の思いや
活動に浸るのも悪くない。
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