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2024年03月15日16:00

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「12日の殺人」〜美しい街にただよう冷気

フランスの地方都市グルノーブルが舞台。10月12日の夜、21歳の女子大生クララが何者かに襲われ翌朝彼女の焼死体が発見された。地元警察の新任刑事ヨアンは捜査を開始、クララ周辺の男性たちに容疑の目を向けるも、彼女のふしだらな男関係ばかりが浮き彫りになるのだった…。監督は「悪なき殺人」のドミニク・モル。

グルノーブルの警察も大変だ。ついこないだ「落下の解剖学」でやっかいな事件に出くわしたばかり。かってはフランシス・レイの華麗なメロディが流れる美しい街だったのに…。もっとも今回は誰がどうみても他殺にほかならず、ただその殺害方法があまりにもシンプルかつイージーなので普通ではない恐ろしさを覚えてしまう。

次々と捜査線上に浮上する、いかにもチンピラ風情の容疑者たちとの対峙がしばらく続くヨアンがひきいる捜査班。観る側がややいら立ちを覚えるほど物語は前向きに進展せず、真犯人割り出しには至らない。双方とも思ったことをすぐ口に出して感情を爆発させるのは、お互いに若く未熟なせいか、それとも単なるフランス人気質なのか。

サスペンスに必須の謎解きによる爽快感はほとんど期待できず、前半は被害者と容疑者たちとの関係、そして後半は警察署内の人事関係、双方における男と女の力学みたいなものに製作者は重点を置きたかったのでは。たしかにグルノーブルは空気が澄みきった美しい街、ただ今回ばかりはそこには冷ややかな妖気がずっと漂っていました。
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