雪深きフランスの山荘で暮らす流行作家のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)一家。夫のサミュエルがバルコニーから謎の転落死、第一発見者は視覚障害を持つ息子のダニエル10歳だった。やがて夫婦仲良好とは言えないサンドラに殺人の容疑が…。カンヌ映画祭昨年度のパルムドール、来月発表になるアカデミー賞では5部門にノミネート。
物語は法廷場面へ。審理の場における息もつかせない言葉のやりとり、裁判ものの常套ながらサンドラの過去があぶり出されていく残酷な展開。彼女による殺害なのか、それともサミュエルの自殺なのか、はたして真相はいかに。スリリングな場面を味わいながら、私はそれらとは別に3通りの真犯人を推理してしまいました。
何をおいてもザンドラ・ヒュラーの存在感。やっぱり欧州映画には欠かすことのできない名優、オスカー主演女優賞ノミネートは当然。今回もまたその卓越した演技力には驚嘆、白眉と言えるのはなかほどの回想シーンにあたる夫婦諍いの顛末。鬼気迫る丁々発止のやりとりは、いったん物語を離れて“夫婦のありかた”を問題提起。
このふたりはドイツ人とフランス人、会話は英語。さらに作品総じてのセリフには英語とフランス語が混在、これらが物語のスパイスになっている。その気になればどこでも切れるのに、ひょっとしてここからまだ何か展開ありやと思わせる長めの余韻。物語をふりかえり、もう一度推察する時間を観る側に提供してくれています。
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