ウディ・アレン監督最新作。ニューヨークで映画学を教える大学教授かつ小説家のモート(ウォーレス・ショーン)は、映画広報の仕事に就く妻のスーに同行、スペイン最大の映画祭が催される風光明媚なリゾート地、サン・セバスチャンまでやってくる。モートはスーとフランス人映画監督フィリップの浮気を疑っていたのだった・・・。
いわゆる業界内映画。モートがアレン監督の分身であることは誰にもすぐわかる。このところ著名あるいは若手俳優を起用してきた監督、一見地味に映るキャスティングも、老境の域にあるモートのせつなさに十分シンパシーを感じさせてくれる。そしてこの作品最大の観どころといえば過去の巨匠監督作品へのストレートなオマージュ。
クラシックな作品をあまり観ていない私でさえも、モートの妄想あるいは夢のなかにモノクロ展開する引用をいくつか楽しめた。もちろん彼の口からは映画史をなぞる数々の固有名詞。セリフの上だけとはいえ日本映画への言及が続いたときは、笑いをこらえるのに必死になりながら、やがてはアレン監督の映画愛の深さに泣きそうにも。
いや、巨匠監督による古典作品をふだんから楽しむひとたちにとっては、このあけすけな引用ぶりはかえって賛否あふれることになるかも。88歳の51作目、ここまで過去の名作にたいする愛情をむき出しにした作品もなく、ある意味最後の切り札をさらしたような印象、そろそろ店じまいかもという気持ちがよぎったのも事実です。
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