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2023年12月21日15:05

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屋根裏のラジャー

 いわゆる「イマジナリー・フレンドもの」って、私にとっては大好物。
 子供の頃、ちょっとぼんやりしてて夢見がちで、自分の空想の中にどっぷり浸かっている時間がとても好きだった人なら、たぶん皆、そうなんじゃないですかね。
 なので「屋根裏のラジャー」、とても気持ちよく観ました。

 ただ、この作品、展開にちょっと持って回った感じがして、お話が停滞しちゃうんですよね。
 大好きなイマジナリー・フレンドのラジャーと空想の中で遊ぶのが何よりも楽しみな少女・アマンダに迫る謎の人物Mr.バンディング。アマンダは彼に追われて交通事故に遭い意識不明となったため、彼女の空想の中でしか生きられないラジャーは「忘れられたイマジナリ」の世界に行くしかなくなるのですが、そのプロセスがどうもまどろっこしく、また飲み込みづらいんです。
 ここでラジャーが出会う、リーダー格のイマジナリのエミリの人格造形もやや曖昧なため、彼女の抱える哀しみが今ひとつ伝わりません。「トイ・ストーリー2」に登場したジェシーのようなポジションにいるキャラクターなので、彼女をうまく描けば「イマジナリはなぜ生まれたのか?」「イマジナリにも生や死はあるのか?」というテーマがもっと浮かび上がったはずなんですが。もったいないです。

 とは言うものの、この作品、流石にスタジオジブリの元スタッフが多く参加しているため、アニメーション=動く絵の魅力が至る所で炸裂していて、目を奪われます。人の手で描かれた絵が本当に生きてそこに存在しているかのように感じられることからくる高揚感に、思わず心が躍ります(世評高い「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」に欠けているのは、これなんです)。

 「窓ぎわのトットちゃん」のように、圧倒的に素晴らしい、とまでは言えませんが、これはこれで見応えのある佳作ではありましたね。忘れられかけているイマジナリを捕食して生きるMr.バンディングを「小賢しい現実論を振りかざして想像や理想の素晴らしさを否定する似非リアリスト」のメタファーとして描いている点も見逃せません。

 そうそう、イマジナリー・フレンドものといえば、昔、素晴らしい快作があったなあ。
 リチャード・フランクリン監督の「ビデオゲームを探せ!」。
 「E.T.」のヘンリー・トーマス主演で、共演はダブニー・コールマン。
 ご覧になった方、いますかね? 日本未公開でビデオリリースのみだったんですが、本当に面白くって、そして泣けるんですよ。
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