義則(若葉竜也)は市子(杉咲花)に念願のプロポーズ。成就したと思った矢先、3年間ともに暮らしたアパートから彼女のすがたは突然消えてしまった。ぼうぜんとする義則、彼の前に現れたのは市子を探しているという刑事(宇野祥平)だった…。監督・脚本・編集は戸田彬弘、彼が主宰する劇団チーズtheaterの舞台作品を映画化。
市子の少女時代までいったん時間はさかのぼるも、けっこう気ままに時間軸は移動、最初はなんとかついてきた観る側もだんだん面食らうことに。市子の過去をたどる義則の視点がそこに加わり、さらに事件らしきものを追う刑事の目線も加味、そのあたりの構図はなかなかやっかいで、あえて設定された不親切さと言っていい。
作り手の側もそのへんはよくわかっていると見えて、幕開け早々の場面をもう一度エンディング近くに持ってきてループ状にするという仕掛け技。“事件らしきもの”とあえて書いたのは、この物語がいわゆる犯人探しや謎解きに終始するのではなく、けっして幸せとは言えない市子の内面をだんだんと探るようにできているから。
この作品を杉咲花の代表作とする向きもあるが、彼女の映画作品をさほど観ていないのでなんとも。ただ彼女が涙するある場面は、監督の想定をこえた感情の高ぶりだったとか。最後にすべてが一本の線につながった…というカタルシスに到達するひとは果たしてどのくらいいるか、観る側の吸収力が試される一作でもあります。
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